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2022/03/11

太陽光発電の自己託送とは?託送料やメリットについて解説

自家消費の次なる手段「自己託送」とは_自己託送なら設置場所を確保できない企業も再エネ電力利用が可能に

遠隔地でも自家消費できる「自己託送」とは?

自己託送モデル_自家消費型太陽光発電

自己託送とは、遠隔地にある自社所有の太陽光発電設備で発電された電気を、送配電事業者の送配電設備を利用して自社または自社グループ企業の施設へ送電する仕組みのことです。

自社敷地内に太陽光パネルの設置スペースがない」「塩害地域や豪雪地帯で太陽光発電の設置が環境的に向かない」などの理由から太陽光発電設備が設置できない場合でも、自己託送制度を利用して送電することで自家消費型太陽光発電の導入が可能になります。

なぜ「自己託送」が注目されるのか?

自己託送は、2013年、経済産業省によって電気事業法改正で制度化されましたが、近年の世界的な脱炭素化に向けた取り組み拡大の動きや、太陽光発電の自家消費ニーズの高まりによって、再び注目を集めています。

自家消費型太陽光発電とは、工場・店舗・事業所などの屋根や敷地に太陽光パネルを設置し、太陽光によって作った電気を事業所へ供給する仕組みで、発電した電気を自社敷地内で消費します。
自家消費型太陽光発電を導入するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

  • 自社敷地内に太陽光パネルを設置する充分なスペースがある
  • 建物が1981年に改正された建築基準法の新耐震基準を満たしている
  • 建物が新耐震基準を満たしていない場合は耐震改修・耐震補強をしている

 

自己託送は、太陽光パネルの設置場所を問わず再エネ調達を実現できるという点から、自家消費型太陽光発電のさらなる普及拡大の手段として注目を集めているのです。

ただ、自己託送では、「計画値同時同量」の制度を守る必要があり、計画値と実績値との間に差が生じてしまう場合はペナルティ(インバランス料金)が課せられるため注意が必要です。
また、遠隔地に送電するためには、系統(一般電気事業者が保有する送配電ネットワーク)を介すため、別途、託送料金を支払う必要があることも忘れてはなりません。

自己託送のメリット・デメリット

メリット

  • 自社内の敷地面積にとらわれず発電量が確保できる
  • 必要な電気量に応じた発電設備を設置できる
  • 自己託送による電気には再エネ賦課金がかからない
  • 複数の事業所やグループ企業に送電することでグループ企業全体のCO2削減が可能

デメリット

  • 発電設備を設置するための土地やスペースを用意する必要がある
  • 高圧・特別高圧に限られるため広い土地が必要になる
  • 計画通りに発電できない場合にはペナルティ料金(インバランスコスト)が発生する
  • 送電コスト(託送料金)がかかる
  • 非常用電源として活用できない可能性がある

このようなケースには「自己託送」がおすすめ

低圧発電所では電圧が低く、遠隔地まで送電できないため、自己託送で使用できる太陽光発電所は、高圧・特別高圧に限られています。
そのため、下記一例のとおり、施設の消費電力が多い施設での使用が向いています。

  • 年中無休・365日稼働
  • 病院
  • 工場
  • ホテル
  • データセンター
  • 冷凍冷蔵倉庫 など

自己託送とオフサイトPPAの違い

自社の敷地から離れた場所にある太陽光発電設備から送電する「自己託送」にはいくつかの種類があります。
太陽光発電所の所有者、送電先、低圧発電所の使用可否などによって、「自己託送」「オフサイトPPA」と呼ばれ方が変わります。

オフサイトPPAとは、コーポレートPPAのひとつで、企業の敷地から離れた場所にある太陽光発電設備から、電力会社が保有する送配電網を経由して企業に電力を供給する仕組みで、オフサイトコーポレートPPAとも呼ばれています。
オフサイトPPAでは、自己託送に必要な発電設備や土地は、電力需要家(企業)に代わって、発電事業者が購入し、そこで発電した再エネ電力を需要家に提供し、企業側は発電事業者と契約した固定価格の「電気料金」に加えて、送配電網を利用するための料金「託送料金」を支払います。
日本では需要家(企業)に電力を販売できるのは小売電気事業者に限定されているため、発電事業者と企業がコーポレートPPA(オンサイトPPAを除く)を結ぶには、小売電気事業者を介在させる必要があります。

それぞれのメリット・デメリット・どのような設備に向くかについては、「コラム:企業が導入する自家消費型太陽光発電の種類と選び方」をご参照ください。

自己託送とオフサイトPPAの違い

自己託送の利用条件

自己託送制度を利用するためには、経済産業省資源エネルギー庁の「自己託送に係る方針」に規定された条件を満たしている必要があります。
要約すると、自己託送制度の利用条件は下記のとおりとなります。

  • 電力を販売する目的ではなく自社で利用すること
  • 発電者と供給先が同一の会社の施設であること
  • 電力供給先の名義はグループ企業の施設であるなど密接な関係があること

託送料金の相場

託送料金とは、電気の小売電気事業者が、需要家に電気を供給するために、大手電力会社(一般送配電事業者)の送配電網を利用する際に支払う料金のことです。

自己託送の託送料金は、基本料金のない従量料金で、電力会社や契約種別によって異なります。

東京電力パワーグリッド 低圧電灯:10.97円/1kWh
低圧動力:16.71円/1kWh
高圧:11.45円/1kWh
特別高圧:7.52円/1kWh
中部電力パワーグリッド 低圧電灯:11.33円/1kWh
低圧動力:14.90円/1kWh
高圧:9.02円/1kWh
特別高圧:6.42円/1kWh
関西電力送配電 低圧電灯:11.34円/1kWh
低圧動力:12.18円/1kWh
高圧:11.12円/1kWh
特別高圧:7.94円/1kWh
九州電力送配電 低圧電灯:10.77円/1kWh
低圧動力:15.11円/1kWh
高圧:10.19円/1kWh
特別高圧:8.62円/1kWh

(2021.03.11 現在)

まとめ

自己託送は、企業の敷地から離れた場所にある太陽光発電設備で発電した電気を電力会社が保有する送配電網を経由して同一企業もしくはグループ企業の施設に送ることができる制度です。

自己託送制度を活用することで、塩害地域や敷地面積や建物の構造計算・屋根の形状などの理由により設置が難できなかったケースでも自家消費することが可能になります。また、複数の事業所やグループ企業に送電することでグループ企業全体のCO2削減が可能となり、電気代削減効果も大きいことから、RE100への参加など再生可能エネルギー100%を目指す企業など、今後の多くの企業に活用されていくのではないでしょうか。

弊社では、お客様にとって長期に保有する資産となる太陽光発電設備を、安心して導入していただきたいと考えております。お客様のご要望や条件、企業の経営課題や予算、電力利用状況などをお伺いし、「圧倒的な品質・サービス・価格」でお客様にご満足いただけるよう最適なご提案をいたします。
お客様ご自身での検討が難しい場合や、ご希望のケースがお決まりでない場合は、お気軽にご相談ください。


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