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太陽光発電コラム

2024/01/16

キーワードは自家消費率!太陽光発電の自家消費率とは?

太陽光発電の自家消費率とは

太陽光発電の自家消費率とは?
売電より自家消費がオススメな理由

太陽光発電における「自家消費率」とは、太陽光発電システムで発電した電力のうち、実際に建物や施設内で使用した電力の割合を示すものです。

自家消費率が高いほど、電力会社から購入する電力量を削減できることを意味するため、太陽光発電システムにおいて、自家消費率は重要な指標のひとつです。


太陽光発電システムで発電した電力というのは、自社などの建物内で消費する以外に、電力会社へ売電する方法がありますが、昨今では、買取価格の下落と電気料金の高騰により、売電するより自家消費する方が圧倒的に経済メリットが高くなっています。

そのため、太光パネル設置容量を無理に追加して余剰分を増やすのではなく、建物内で消費して電気代を節約するほうがメリットは大きいと考えられています。

太陽光発電における自家消費率の重要性

前述したとおり、自家消費率を上げれば上げるほど、電力会社から購入する電力量を減らすことができます。
電力会社から購入する電気は、社会情勢・供給力の問題・料金制度といった様々な要因によって、価格が大きく変動します。しかし、太陽光発電システムで発電した電気は、そのような影響を受けません。
電気料金が長期的に値上がり傾向にある中で、安定した料金の電力を確保したいと考える企業が増えているため、事業で使う電気は、自社で発電して自社で消費する自家消費型太陽光発電システムが注目されているのです。

太陽光発電の自家消費率を上げるメリットとしては、「電気料金の値上げ時も影響を受けにくくなる」ことと「万が一の災害時にでも電力供給が可能となり、BCP対策になる」ことが挙げられます。

自家消費率を向上させる太陽光発電の設計ポイント

自家消費率をアップするためには、どのような設計にすればいいのでしょうか。

電力使用状況を確認する

自家消費型太陽光発電の設置をするためには、まず、今の電力使用状況を確認する必要があります。
売電を目的とした太陽光発電システムは、とにかく売電収入を増やすために発電量を最大化する設計が多く見られましたが、自家消費を目的とする場合は、施設の電力使用量や屋根の面積などに最適な設計が重要になってきます。

例えば、週末や長期休暇など、日中に電力を使用しない工場やオフィスなどの建物の屋根上に太陽光発電システムを設置した場合、発電量が消費量より多ければ、使い切れなかった電力は捨てることになります。これでは、経済メリットが薄くなってしまうため、建物の電力使用量を正確に把握して、それに見合った太陽光発電システムの設備容量になるような設計をする必要があります。
そこで、必要となってくるのが「デマンドデータ」です。

最大デマンドを下げ、電気代の基本料金を安くする

電気代の基本料金は「直近1年間で最も電気を使用した時間帯の電気使用量=最大デマンド」によって決められます。つまり、最も電気を使用する時間帯の電気使用量を減らすことで、電気代の基本料金を下げることができます。
一般的に、工場やオフィスなどで最も電気を使用する時間帯は昼間です。
太陽光発電システムを導入することで、電気の最大使用量を抑えられるため、ピークカットにより、契約電力(最大デマンド)を下げることに繋がり、年間を通しての基本料金を下げることが可能になります。また、電気単価が高い時間帯の電気料金を抑えることもできます。

余剰電力の活用方法

太陽光発電システムは、曜日や休日に関係なく、毎日発電します。
そのため、自家消費型太陽光発電を導入する場合、休日の余剰電力をどのようにするのかが問題です。
週末や長期休みがある場合、発電した電力は消費されることなく、捨てることになるからです。

無駄にしないためには、余剰分を「蓄電する」か、「売電する」かのいずれかになります。
蓄電池を設置すれば、非常用電源を確保できるため、災害時のBCP対策にもなります。
一方、FITの余剰売電制度を用いて余剰分を電力会社に買い取ってもらう場合は、経済産業省へ売電の認可を依頼するため「事業計画認定申請」が必要です。また、余剰分を逆潮流で電力会社に送電するため、系統に空き容量があることと、負担金の支払いが必要になります。
いずれも費用や手間がかかるため、自家消費型太陽光発電では、稼働日と消費電力とコストの観点から、最適な設計が求められます。

自家消費型太陽光の導入に向いている企業・業種とは?

自家消費型太陽光発電システムと相性がいいのは、一年を通して昼間に電気を多く消費する企業です。
太陽光発電の性質上、昼間に発電が行われるため、日中の電気使用量の多い企業は、発電した電気を無駄にせず利用でき、発電した電気が余らないという点でも相性が良いといえます。
例えば、冷凍・冷蔵庫や空調を常に稼働させている食品スーパーや工場、土日・祝日も営業しているショッピングモールなどは、定常的に電気使用量が多く、昼間に電気消費量のピークに達する点から、自家消費型太陽光発電システムに適していると言えます。
一方、製造工場やオフィスビルなど、週末に休みが多い業態では、余剰電力をどうするか課題になるため、休日でも何かしらの待機電力が発生しているかがポイントになります。
発電した電気を余すことなく、使い切れるかどうかは、自家消費型太陽光発電を設置する上で重要なポイントです。

「完全自家消費」と「余剰売電」

自家消費型太陽光発電システムの種類には、「完全自家消費型」と「余剰売電型」があります。


完全自家消費型とは、発電した太陽光電力をすべて自社内で消費する設計です。
電力系統への逆潮流を防止するためにRPR(逆電力継電器)をつけることが義務付けられています。
逆潮流を防止し、安定した発電量を維持するための設計や、出力制御装置(追従式PCS)を付けるなどの対策が必要です。

余剰売電とは、自社内で消費しきれなかった電力を電力会社に売電する設計で、自家消費による電気代削減と売電による収益が得られます。FIT制度を活用するには経済産業省から事業計画認定通知を取得する必要があります。発電した電力は、FIT制度にもとづき、国が定めた単価で一定期間買取されます。
FIT制度の適用期間終了後も売電を希望する場合は、電力会社のプランに応じることになりますが、固定買取価格よりも安いのが通常です。

自家消費型太陽光発電に向いている業種

 

まとめ:自家消費率を向上させる方法

ポイント①:最適なパネル容量を積載する

太陽光発電の自家消費率を高くするためには、設備の電気使用状況・稼働日・パネル設置面積・日照条件など細かく分析することが重要です。そのためには、「30分値デマンドデータ」「電気料金明細書」「屋根伏図」などをもとに正確なシミュレーションを行ない、発電した電力を消費しきれる分だけのシステムを設置することが重要です。

ポイント①:発電効率を最大化する

発電効率を最大化するためには、太陽光パネルの角度やストリングを工夫するとよいでしょう。
一般的に、太陽光パネルの設置には「方角南向き・傾斜角度30度」の屋根がもっとも発電効率がいいと言われています。同じ容量の太陽光パネルを設置する場合でも、屋根の方角によって発電量が変わってきます。

ポイント③:蓄電池や電気自動車(EV)を併設する

蓄電池に発電した電力を貯めておけば、夜間でも使用することができるようになります。
また、万が一起きるかもしれない災害に備えておくことも可能です。
BCP対策は、緊急事態の備えとしてすべての企業に必要で、特に「電力確保」は重要な課題のひとつです。これまでに起こった災害でも、広い範囲で電力供給がストップしており、完全復旧まで1週間以上かかるなど、長期にわたるケースも多くあります。

FIT終了後も余剰分を売電する場合、買取価格は電力会社のプランに応じることになり、固定買取価格と比べて安い単価が設定されるのは確実です。FIT終了後は売電せず、蓄電池や社用車として電気自動車(EV)を買い足すという方法もあります。ただし、蓄電池や電気自動車は高額商品ですので、費用対効果などを見極めてから導入することが大切です。

自家消費率を高めることで安定した料金の電力確保が可能に

自家消費型太陽光発電を導入する場合、「現状どれほどの電気が使われているのか?」「最も電気が使われている時間帯は?」「年間を通しての電力使用状況」「電気を使用する施設の稼働状況」を把握しておくことで、削減効果が明確になり、どのようなシステム設計が最適なのかを判断する重要な材料になります。
そこから、予算や目的に応じて、どのようなものが自社に合っているか検討していくとよいでしょう。
お客様ご自身での検討が難しい場合は、お客様のご要望や条件などをヒアリングさせていただいた上で、弊社にてご提案いたします。

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