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2019/06/14

自家消費型太陽光発電を有意義に使用できるようになる「蓄電池」とは

自家消費型太陽光発電を有意義に使用できるようになる「蓄電池」とは

2019年のFIT法改正により売電価格が引き下げられたことを受け、電力を売るという考え方から、電力を自身で消費するという方向に徐々にシフトしてきおり、自家消費型太陽光発電というスタイルが注目を集めています。自家消費の場合には、電力効率を高めるためにもぜひ蓄電池を導入したいところです。

 

しかし、蓄電池について詳しくわからないという方も多いでしょう。そこでこの記事では、蓄電池の役割や仕組み、メリット・デメリット、注意点を解説します。蓄電池の導入をご検討されている場合は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

太陽光発電設備に組み込まれる「蓄電池」とは

蓄電池とは、太陽光で発電した電気を蓄えておける装置です。なお、蓄電池には家庭用と産業用がありますが、こちらでは、家庭用ではなく産業用(電流容量が10kwh以上のもの)の自家用消費型太陽光発電をご紹介します。

 

太陽光発電は、日中に日射量が足りなかったり、悪天候が続いたりすると十分に発電することができません。そのため、発電できない時間が続く場合もあります。

 

しかし、太陽光発電設備自体には電気を蓄えておく機能はありません。そこで電気を蓄えておくのに必要になるのが蓄電池です。

 

蓄電池があれば、昼間に余った電力を蓄えておくことができ、効率よく使用することができます。また、災害時などの非常時にも非常用電源としても使用できるようになります。

 

産業用太陽光発電設備で利用される蓄電池の種類

産業用太陽光発電設置の際に使用される蓄電池は、大きく分けてリチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、NAS電池の4種類です。ここでは、それぞれの寿命や特徴を解説してきます。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、サイズが小さいことが特徴の蓄電池です。設置スペースがあまりない都内オフィスや小規模の企業などで活躍しています。産業用だけでなく、家庭用の自家消費型太陽光発電でも広く用いられており、寿命は6年から最大10年程度。ただ、使用方法を間違ってしまうと寿命が減る恐れがあり、価格も少し高めというデメリットがあります。 

鉛蓄電池

鉛蓄電池は最も寿命が長く、一般的に17年程度持つと言われています。そしてもう一つの特徴は、他のものよりも安価なので導入しやすいことがあります。これらのことから、産業用では一番のシェアを誇っています。ただし比較的大きなサイズになるのが欠点で、他の蓄電池より多くのスペースを取ってしまいます。

その他の種類

上記以外に、ニッケル水素蓄電池やNAS蓄電池などもあります。ニッケル水素蓄電池は、旧来のモデル(ニカド電池)よりも様々な点で優れていますが、時間経過と共に内蔵電力の減少が起こってしまう問題を抱えています。このことから寿命も短い傾向にあり、おおよそ5年から7年だと言われています。また、放電中に一時的な電圧降下を起こす「メモリー効果」が起こることなども指摘されています。

 

NAS蓄電池は寿命が長く、15年程度もつと言われています。鉛蓄電池と比較してエネルギー密度が3倍と非常に高く、同容量なら設置スペースも3分の1にすることができる画期的な蓄電池です。ただ、問題はNASが水と合成すると燃焼を起こす危険性がある点で、周辺装置の管理が重要になってきます。

 

産業用太陽光発電設備で蓄電池を導入するメリット

産業用太陽光発電設備を利用する場合は、併せて蓄電池の導入も検討されることをおすすめします。ここからは、蓄電池を導入するメリットをご紹介します。

蓄電池を導入することで自家消費型太陽光発電を非常用にも使用できるようになる

蓄電池の大きなメリットとして、停電時でも電気を使用できることが挙げられます。日本では自然災害が多く発生するので、防災拠点になっている公共施設には導入が推奨されています。特に企業では、停電時にオフィスの機器をある程度稼働させることなど必要最低限の機能を維持できるというメリットがあります。(ただし大型の機器を通常時同様に稼働させることは難しく、あくまでも緊急時の対応が可能程度に留まります)

電気を無駄なく使える

蓄電池を利用すれば、電気を無駄なく使えるようになります。

 

まず基本的な電気料金というのは、高圧受電500kwh未満の場合、最大デマンド(30分ごとの平均電力でその月の最も大きい値のことを指す)で定められます。なので夏の暑いときなど最大デマンドが高まる時期は、無駄に電気代を払っている場合があります。

 

ここで蓄電池を導入することで、最大デマンドが高い時間帯に蓄電池から電力を供給し、最大デマンドを下げることができます。なので、電気を無駄なく使う上で、蓄電池は大変便利な存在だと言えます。必要不可欠です。

 

産業用太陽光発電設備で蓄電池を導入するデメリット

蓄電池のメリットを紹介してきましたが、今抱えているデメリットも解説していきます。

定期的な交換が必要になり、コストが増える

どの蓄電池にも寿命があり、その寿命に近づくにつれて、徐々にエネルギー効率も落ちていきます。そのため、定期的な交換が必要です。また、太陽光発電設備には、太陽光発電設備で作った「直流」の電気を、家庭内で使用できる「交流」に変換するための「パワーコンディショナー」という機器も必要になります。

 

保証期間の長さや変換効率のいいパワーコンディショナーを選定できる企業を選ぶのがおすすめです。

設置スペースが必要になる

蓄電池は、設置スペースを確保しなくてはいけません。特に産業用蓄電池は、家庭用のものよりも大きいサイズとなるので、十分な設置スペースがあることが前提になります。

 

例えば、京セラが提供するリチウムイオン蓄電システムでは、蓄電池容量が15kwhで室内の設置の場合、幅1714mm×高さ1910mm×奥行740mmで屋外ですと、幅1800×高さ2060×奥行1090の設置スペースが必要になります(更衣ロッカー10名分相当:当社調べ)。なおかつこのスペース内に突起物があってはいけません。

 

蓄電池を長く使うために気をつけたいこと

蓄電池をできるだけ長く使うには、以下の2点に気をつけることが大切です。

 

まず一般的に誤解されている事なのですが、充放電の回数が少なければ長持ちするという誤解です。充電率0%の状態から100%に充電をして回数を少なくする行為は、蓄電池に大きな負担を与えてしまいます。なのでこの充電方法よりも、50%前後でこまめに充電した方が長持ちします。例えばリチウムイオン電池の場合だと、寿命が2年前後変わると言われています。

 

また、蓄電池は定期的にメンテナンスを行うことがおすすめです。特に屋外に設置している場合は、風雨にさらされることにより、基盤の腐食などが起こる可能性があります。これにより故障の原因になったり、本来の性能を発揮できなくなってしまったりする可能性があります。内部に異常が起こっている場合は、見た目だけではわかりません。メーカーや業者に相談するようにしましょう。

 

太陽光発電と蓄電池のまとめ

蓄電池は、太陽光発電の効率を最も高めてくれるもので、無駄を少なくして電気を使うことができます。また、停電などの非常時に電気が使えるというのは大きなメリットでしょう。スペース確保やコスト問題は残っているものの、多くの企業が導入に向けて動いています。

 

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