FIT(固定価格買取制度)一部終了検討のリスクをカバーする自家消費型太陽光発電
「固定価格買取制度(FIT)」で一定価格が守られてきた太陽光発電ですが、経済産業省は2019年6月に一部の買取終了を検討していると報じられています。
このコラムでは、そんな報道を見て不安を感じている企業に向けて、リスクの実態や、それをカバーする方法などを解説していきます。
FIT一部終了の検討が可決したことで起こる問題・リスク
まずはFITが一部終了するといわれる実態と、それに伴って起きる問題やリスクを解説します。
価格競争になるため、売電目的の新規太陽光発電の事業リスクが高まる
経済産業省はFIT終了後に、太陽光発電などで作られた電気を市場取引の対象とする競争原理を導入すると見られています。そのため消費者にとっては電気料金が安くなる可能性がありますが、事業者側には大きなリスクになる事も懸念されています。
固定価格での買取の一部終了は、メガソーラーなどの大規模な設備が対象です。売電目的でメガソーラー開発を考えている企業にとっては、新規参入のコストが決して低くないにも関わらず、安定した利益を生むことが難しくなるというリスクを背負うことになるのです。
売電先を選ぶことはできるが、買取価格は下降傾向が想定される
FITの一部終了を検討している理由は、一般家庭の負担を減らすためでもあります。FIT制度では固定価格で買い取った分の負担を、消費者が払う電気料金に上乗せする仕組みになっています。(再エネ賦課金)負担額の推移を見ると、2012年度に標準的な家庭が負担する月額は66円でしたが、2018年度の負担は754円と10倍以上に大きく膨れ上がっているのです。
また、買取価格が2012年以降年々下落傾向にあることも踏まえておかなければなりません。FITは何年にもわたって買取価格が固定されているわけではなく、毎年価格が変わります。その買取価格は2012年には産業用では40円/kWhでしたが、2018年には18円/kWhと半分以下に下がっています。この傾向を考えれば、売り先を選ぶことが認められる価格競争に転じても、過去のような利益向上を望むのは難しいでしょう。
【要チェック】既存設備などは決定済みの買取期間が適用され続ける
FITを適用する場合、10kW以上の太陽光発電であれば稼働開始から20年間は電力を固定価格で買い取られます。(なお、10kW以上の場合の期間が定められたのは2012年であり、2032年に固定価格買取の満了を迎える設備があることから「2032年問題」と呼ばれています)
しかし、これは「稼働開始から20年は買取を保証する」という事を意味しており、例えば2017年に稼働開始した設備なら2037年までは固定価格買取が続きます。2032年を迎えたり、今回のFIT一部終了で一斉に買取が終了するわけではないので、勘違いしないように気を付けましょう。
これから太陽光発電設備導入を検討している会社におすすめの「自家消費型」
売電による利益を前提として普及してきた太陽光発電設備ですが、買取価格の下落や変動を考えると、売電よりも自家消費型に切り替えた方が利益が出る、という考え方が広まりつつあります。
ここからは、FIT一部終了を踏まえた上での自家消費型太陽光発電設備を導入するメリットを紹介しましょう。
メリット①:変動する売電価格に囚われないため、事業リスクを抱えない
2012年には1kWhの買取価格が40円だった産業用の電力は、2019年には14円にまで下がっています。また、20年が経過してFITを卒業した後やFIT一部終了後に新規参入する場合、価格競争や価格変動の波にさらされることになり、企業にとっては以前より事業リスクを抱えることとなります。
しかし、売電ではなく発電した電力を自社で消費すれば、今後も太陽光発電設備は安定したメリットを生みます。
メリット②:電気料金の上昇に伴い初期投資の回収が早くなる
電気料金は2016年以降、毎年着実に上昇を続けています。つまり発電した分を自家消費すれば、その分コスパ的には高まっていることになります。これは電気代の出費を抑えるだけでなく、太陽光発電設備を導入した際の初期投資の回収速度が上がっていることにもなります。
メリット③:売電目的ではないからこそ、様々な補助金・税制優遇でお得に導入できる
現在、省庁や地方自治体は自家消費型太陽光発電設備の普及を推進しています。特に中小企業が導入する場合には補助金や税の優遇などがあります。例えば会社規模などが条件に合えば、導入した年度に設備導入費用の全額を経費として計上できる措置や、設備に課せられる固定資産税が3年間半額で良い、などの措置があります。
別のコラムで詳しく記述していますので、これから自家消費型太陽光発電設備の導入を検討される企業の担当者は、ぜひ以下を参照してください。
→「自家消費型太陽光発電を導入する際に利用できる補助金の制度」
CSR活動に参入できる、蓄電池併用で緊急電力供給が可能など、金額面以外にもメリットが存在
ここまでは自家消費型太陽光発電設備の金額面でのメリットを上げてきました。しかし、自家消費型太陽光発電設備は金額以外でも以下のように様々なメリットがあります。
・蓄電池を併用していれば災害時に停電が起こった時、自立運転モードにすることで非常電力として使用できる
・RE100をはじめとするさまざまな取り組みに参加することができるので、自社の社会的イメージを高め、企業としてのコネクションが広がるきっかけになる
これについても詳しく記述した記事がありますので、ぜひ参考にしてください。
→「自家消費型太陽光発電は中小企業こそ導入すべき?導入のメリット」
FIT終了検討と自家消費型太陽光発電設備まとめ
太陽光発電による電力の固定価格買取終了による問題や、その対応策についてまとめました。売電型の太陽光発電設備には以前のような大きなメリットは期待できなくなっていますが、自家消費型太陽光発電設備なら、これから導入する形となってもさまざまな魅力があることをご理解いただけたことと思います。
ここまで書いたように利点が多い自家消費型太陽光発電システムですから、検討を行う企業が増加しています。興味をお持ちの場合は、ぜひ「ユニバーサルエコロジー株式会社」にご相談ください。
当社は1996年の創業以来、太陽光発電設備を5,000件以上も受注し、丁寧に設置してきた実績を持っています。ご相談いただければ御社の電力使用状況や、地域の日照状況による発電効率を踏まえて分かりやすいシミュレーションと、誠意あるお見積もりを作成いたします。