省エネの今、ますます需要の増えるエネルギー管理士とは?またその日本で唯一の有資格者団体とは?
一般社団法人全国エネルギー管理士連盟 専務理事 松島康浩 様
エネルギー管理士とは?
エネルギー管理士とは、「省エネ法」という法律に基づいた国家資格になります。省エネ法では、年間で原油換算3,000キロリットル以上を使用する工場を「第一種エネルギー管理指定工場」として指定しており、そこではエネルギー管理士の有資格者を選任する必要があります。エネルギー管理士は、この第一種エネルギー管理指定工場でエネルギー管理を行い、省エネを推進していく役割を担っています。現在、エネルギー管理士の免状の交付件数は全国で66,000件となっています。
工場におけるエネルギー管理のフローとは?
管理フローとしては、一般的な改善の仕組みと同じように省エネに向けた取り組みのPDCAを回し改善を行っていくようなイメージです。まず現状把握から始まり、実際どこにどれくらいのエネルギーを使っているのか、毎月の使用量を細かく時間単位などで把握します。そして、それらの情報をもとに現場でのエネルギーの使用や設備に関する改善を計画・提案を行います。その後、実際に実行し検証として効果測定を行っていきます。エネルギー管理士は、このサイクルを回し改善を行っていくことで、工場での省エネを推進していきます。
先ほどの工場でのエネルギー管理は、任意で行うものなのか、それとも国への報告義務などはあったりするのでしょうか?
国としては、省エネ法の規制のなかで毎年定期報告書にて企業への報告義務を定めています。対象の企業として、先ほどの第一種エネルギー管理指定工場や、省エネ法で定められている年間エネルギー使用1,500キロリットル(原油換算)以上の特定事業者が該当します。定期報告書ではどのくらいエネルギーを使用したのか、また省エネへの貢献などを報告します。
そのエネルギー管理士が所属する団体である一般社団法人全国エネルギー管理士連盟について教えてください。
一般社団法人全国エネルギー管理士連盟は、国家資格であるエネルギー管理士の有資格者が集う団体です。以前そういった団体があったのですがなくなってしまったため、有志を募って団体を設立し現在に至ります。会員数は現在全国に118名います。設立の目的としては、主にエネルギー管理士という国家資格の知名度向上です。知名度が上がればより多くの方が資格取得を目指すでしょうし、そこからエネルギー管理というものがより認知されれば、国の省エネ推進にも貢献することができます。加えて、エネルギー管理士の知識の向上というのも目的の一つです。資格を取得したはいいが、横のつながりが無く新しい情報が共有されないというのは問題なので、エネルギー管理士の方々へ情報交換の場を提供し、お互いの知識を向上させていくことも必要だと考えています。
活動内容としては、どういったことをされていますか?
主な活動内容として、省エネに関する情報交換会を行っています。東京・大阪・名古屋を順繰りに2か月に1回開催しています。この情報交換会では、参加者が事例発表をし、それについて議論したり、また最新情報の交換などを行っており、最近ではISO50001(エネルギーに特化したマネジメントシステム)について情報交換を行いました。日本ではまだ導入が40件ほどで、一番初めに取得したのが大日本スクリーン製造株式会社、そして日立製作所、イオン、トヨタ自動車なども取得されています。世界的にみると2016 年までで20,256件、そのうちドイツが9,024件となっており、ドイツではISO50001を取得すると、企業に対する減税があるという後押しがあり普及したようです 。このように情報交換会では、省エネやエネルギーに関する様々な情報交換を行っています。
一般社団法人全国エネルギー管理士連盟の今後の展望や目標は?
エネルギー管理士は省エネを推進していく重要な役割を担っています。そのエネルギー管理士の知名度や知識の向上に向けた活動を今後も連盟として継続して行っていきます。また、この9月に大阪に西日本支部を設立しましたので、会員を増やし情報交換会をさらに活性化させていきたいと考えています。また、連盟として日本の省エネ・CO2削減に貢献していくことにより、将来的には国や自治体にも提言できるような組織になることを今後の目標として活動していきます。