もう迷わない、自家消費型太陽光発電の業者選び
電力の地産地消と呼ばれ、現在注目を集めている「自家消費型」の太陽光発電。電気代削減をはじめ環境への貢献、非常用電源の確保などを目的として、大企業、中小企業ともに導入企業は増えてきています。
一方で、自家消費の導入を検討する際、「どのEPC業者を選んだらよいかわからない」といったお問い合わせやご相談の声も多いようです。EPCとは「Engineering, Procurement and Construction」(設計・調達・建設)を一気通貫で行う事業者のことです。今回は、「自家消費型」の太陽光発電のEPC業者選びのポイントをご紹介します。
自家消費型太陽光発電EPC業者選びの3つのポイント
① 「自家消費型」の施工実績がある
② 見積もりを細部まで説明をしてくれる
③ O&M(保守・管理)も請け負ってくれる
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
「自家消費型」の施工実績がある
自家消費型太陽光発電設備導入のEPC業者選びで一番重要なポイントは、「自家消費型」の施工実績が多くあることだと言えます。
これまでの投資目的の売電型太陽光発電では、モジュール(パネル)の数をできるだけ多く敷地内に設置し、より多く電力を発電するよう設計・施工できることがEPC業者に求められていました。
一方で、「自家消費型」の太陽光発電は、自社で発電し消費することで電気代やCO2を削減することが目的です。そのため、より多くのモジュール(パネル)を設置すればよいという訳ではありません。費用対効果を最大にするために、消費電力量をにらみつつ、逆潮流やパワコンの運転制限をしないような設備設計ができる技術が求められます。
したがって、求められる技術も異なり、より高度であるため、これまでの売電型の太陽光発電の施工実績数だけで判断するのではなく、「自家消費型」の太陽光発電の施工実績があることがEPC業者選びの大きなポイントです。
見積もりを細部まで説明をしてくれる
次に重要なポイントは、提示された見積もりの内容や費用についてきちんと説明をしてくれるEPC業者を選ぶことです。
業者によっては、書面で提出するだけできちんと説明を行わないところもあるようです。そういった場合は、基本的な技術面や後々のサポート面においても対応が不十分である可能性がありますので、避けた方がよいかも知れません。
なお、産業用の自家消費型太陽光発電の見積もり時に、少なくともチェックするべきポイントをまとめました。
発電のシミュレーションがあり、収支表があること
売電するケースと異なり、自家消費はベネフィット(利益)が実感しにくい設備です。事前に設備費用に対する消費電力の削減効果と稼働期間を確かめておきましょう。
具体的な工事内容の説明ができること
建屋の屋根に設置する太陽光発電設備は、建築基準法の適用を受ける場合があります。また、電気関係の法律や規制も関係しますので、内容について法的、技術的な根拠を確認することが重要です。
また、自家消費型太陽光発電設備の設置に伴い、新しく電源系統に保護装置が追加されます。どのような場合に働き、どうなるのか、どのようにしたら復帰できるのかなどきちんとEPC業者に確認しましょう。
電力会社・主任技術者との折衝が行えること
自家消費型太陽光発電設備を導入する際、売電(逆潮流)はありませんが、電力会社と系統を連系するため、事前に協議、確認が必要です。
EPC業者から見積もり提出があった段階では、この協議についての費用は含まれません。
見積もり段階でこういった協議が必要であること、費用が掛かることを把握したうえで、電気主任技術者と保護協調(電源系統が短絡、地絡などした際の保護の順番とバランス)の打ち合わせができるかどうか、ということは重要なポイントと言えます。
見積もり確認の際に「電力会社との協議、主任技術者との協議もお願いできますよね」という確認は重要です。
「できます。お任せください。ただし保護協調の考え方で見積金額が変わるかもしれません」という返事であれば、見積内容も把握していますし、協議によって工事内容が変更される可能性があることもわかっており、協力業者やメーカーに依頼していたとしても、そういう協議の場に同席させることができる関係性を保っている、ということです。
「この見積もりに沿ってお客様でご確認いただき、その結果をお知らせくだされば再見積もりします。」という返事だとしたら、システムの設計を外部に丸投げしているかもしれません。
O&M(保守・管理)も請け負ってくれる
最後に、EPC業者選びにはO&M(保守・管理)を請け負ってくれることも外せないポイントでしょう。
長期間安定的に発電を行うには太陽光発電のメンテナンスは必要不可欠であり、エネルギー政策基本法に基づき政府が策定する「第五次エネルギー基本計画(平成30年策定)」においても、「太陽光発電の適切なメンテナンス」が必須とされています。
自家消費発電設備を設置したEPC業者がO&M(保守・管理)も引き受けてくれる場合、全く別の会社に依頼する場合と比べ、竣工図書の引渡、事前の設備確認作業を省くことができ、手間とコストを削減することができます。
メンテナンスの専門業者にO&M(保守・管理)のみを依頼するのもひとつの方法ですが、自家消費型を含め、太陽光発電は「設置してからが始まり」です。可能な限り、設計から施工、メンテナンスまで一貫して任せられる業者を選ぶことが、安心して長期間運用するためのポイントではないでしょうか。
終わりに
自家消費型太陽光発電のEPC業者選び、参考になりましたでしょうか。長く安定的に発電を行っていくために信頼できる販売施工業者選びはとても重要です。
施工実績があり、見積もり時に細部まで説明ができる、そして導入後も安心してメンテナンスを任せられる。= 技術を持っており、工事内容を把握、理解している、ということになるかと考えます。
導入を検討される際は、是非これらのポイントを参考にしていただければと思いますし、不明点がある場合は質問し、しっかりと理解し納得した上で設備を導入するようにしましょう。