COLUMN
太陽光発電コラム

2019/02/06

太陽光発電設備と自家消費・逆潮流とは

逆潮流と自家消費型太陽光発電の関係

FIT制度の終焉が見えてきた最近、太陽光発電の「自家消費」について、気運が高まりつつある。では、いままでの売電型と自家消費型はどう違うのか。

今回は「逆潮流」をキーワードに違いを確認していきたい。
文中では、特に断りがなければ、「売電型」は全量売電を指し、「自家消費型」は売電(逆潮流)のない太陽光発電設備として進めさせていただく。

「逆潮流」とは

通常、電力は送電事業者から需要家へ向けて送電されている。
これが需要家から「逆」に送り出されるため「逆潮流」と呼ばれる。

全量売電・余剰売電を行っている場合、太陽光で発電している間は「逆潮流」が発生している。売電事業を行っている場合は、「逆潮流」が電気を売っている状態である。

自家消費型太陽光発電における「逆潮流」

「自家消費型」の太陽光発電設備の場合、この「逆潮流」は起きてはならない。
「自家消費型」の太陽光発電設備から創出される電力は、「構内ですべて消費する」という約束で「系統連系」しているからだ。そこから系統に向かって電力が注入されることは想定していない。

 

ここで「自家消費型」の太陽光発電設備を備えた工場を考えてみよう。

 

普段は照明や動力などの「負荷」が使用されているため、太陽光発電設備で創り出された電力は「負荷」側でどんどん消費され、「系統」側へ流れることはない。

 

ところが、休祝日で会社が休みとなり電力を消費しなかったとしたらどうなるか。

 

太陽光発電設備では、日中はどんどん発電するが、会社は休みで電力をほとんど消費しないとなると、使われない電力は系統へ流れ込むことになる。系統側は「入ってくるはずがない電力」が流入し、しかも一定ではなく、天気の具合で電力量が変わる、とてもやっかいな状態になってしまう。こんなことが系統のあちらこちらで起きてしまったら、周波数の変動に耐え切れずに系統がダウン、つまり停電してしまう。

自家消費型の発電設備には制御装置と安全装置が不可欠

こういった最悪の事態にならないよう、「自家消費型」の太陽光発電設備には安全装置をつける必要がある。

 

低圧連系・高圧連系の場合、「逆電力継電器:RPR(Reverse Power Relay)」というものを設置しなければならない。(他にも保護装置が必要となる場合がある。また、主任技術者との協議が必要となる。特高受電の場合はまた別の折に。)

 

太陽光発電設備の出力そのものを「デマンドの最低値*」以下にしておけば、「逆潮流」してしまう危険性はぐっと下げることができるが、同時に出力自体が小さくなってしまうため、せっかくの「自家消費型」の太陽光発電のメリットも小さくなってしまう。

 

現在の自家消費型の太陽光発電システムには、発電量の制御を行う「制御装置」をつけているのが一般的だ。
この「制御装置」は系統へ「逆潮流」を起こす前に、太陽光発電設備の出力を制御するものだ。この方法ならば、面積が許す限りの太陽光発電モジュールを設置することができ、十分に効果がある「自家消費型」太陽光発電設備を設置することができる

 

*「デマンドの最低値」:設備全体で使用する電力量の一番少ない値。

自家消費型のメリットとは

「自家消費型」の太陽光発電設備のメリットは、「売電型」に比べてベネフィットを感じにくい。別に電力会社から「今月は〇〇円入金します。」といったお知らせが来るわけではないからだ。提案・販売・設置する側もアピールしにくいと感じているのも事実だ。

 

仮に、「自家消費型」の太陽光発電設備の導入で月間20万円の電気代の削減ができた、と想定してみよう。この20万円、粗利で得るためにはいくらの売り上げが必要だろうか。

 

仮に粗利率20%とすると、月間100万円の売り上げが必要だ。
純利益としてはどうだろう。利益率3.5%とすると、月間571万円の売り上げが必要となる。この20万円/月の利益は、企業にとって設備が稼働している限り受け取ることができるベネフィット(恩恵)となる。

 

「自家消費型」は、「全量型」とは違った設計・収支のポイントがある。また、電力会社、主任技術者と事前に設備設計をすり合わせておくことが大切だ。まずはEPC事業者の経験と実績を確認し、相談するところから始めてみてはどうだろうか。

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