COLUMN
太陽光発電コラム

2019/04/22

太陽光発電自家消費設備導入を判断する材料は。減価償却・IRR(内部収益率)の視点から。

太陽光発電設備、特に自家消費に供する設備のメリットは、企業の運営上どう考えたらいいのだろう。今回はこの辺を軽く掘ってみたい。

太陽光発電自家消費設備導入を判断する材料は。減価償却・IRR(内部収益率)の視点から

「設備投資」としての自家消費型太陽光発電設備

太陽光発電設備は実に高価な買い物だ。企業の社屋の屋上に設置し、投資額は数千万円、時には億にも届こうという価格になる。

 

提案の際には、この設備総額を、シミュレーションを基にした売電収入や電気料金の削減額、税制優遇の要素を考慮して、〇年で償却できます、といった資料を作成する。導入する側はこの「償却期間」を「設備投資」の判断基準にしていることと思う。

 

しかし、一般的な設備投資のモノサシで判断すると、太陽光発電設備についての償却・回収期間は正直、長い。償却・回収期間の長さに、導入に二の足を踏んでしまう経営者も多いことだろう。

 

提案する側から言えば、この期間の長さをどうやって短く、あるいは短く見せるようにしていくか、提案書やシミュレーションの作り方に腐心している部分がある。税制優遇やさまざまな補助金情報を乗せ、原価低減などの努力を重ねて、なんとか「納得はできないが理解はできる」ところに押し込んでいるのではないだろうか。

 

自家消費型太陽光発電設備が生み出すメリット

ところが、太陽光発電設備、特に完全自家消費型の太陽光発電設備は、一般的な「設備投資」とは趣が異なる。

 

一般的に「設備投資」は生産性の向上や、新製品の生産のために行い、企業の成長、生産力の増強に不可欠の企業活動である。しかし、太陽光発電設備からの電気を使ったところで、生産性が向上するわけでも、新製品が生産できるわけでもない。では、自家消費型太陽光発電設備を導入するメリットは、企業のどの部分に「効いて」くるのか。

 

自家消費型太陽光発電を導入すると、「消費するエネルギーにかけるコスト」が減る。その分、出ていく現金を節約することになり、内部留保、利益剰余金に相当するものを生み出す。有形資産を増やすことができる、と言っていいかもしれない。

 

また、国際的な環境への取り組みという観点からすると「CO2削減に寄与」することになる。太陽光発電設備・〇〇kwは、年間〇〇トン相当のCO2削減、と謳うことができ、CSR活動に活用することができる。この部分は無形資産と言っていいだろう。この無形資産は環境価値として現金化することも可能だ。

 

しかも、この有形資産、無形資産は設備が稼働する限り、永続的に受け取ることが可能だ。当然、機械設備であるから修理やメンテナンスは必要だが、これからも上昇傾向にあるエネルギーコストと、環境価値が重要になっていくことを考えれば、受け取る有形無形のメリットは年々大きくなっていくだろうことは容易に想像がつく。

 

 

 

「投資」「回収」以外の視点から再検討してみては。

自家消費型の太陽光発電設備の導入検討に、単純な償却年数だけで判断して導入を見送ることはデメリットのほうが大きいのではないだろうか。

 

もちろん、社屋屋根の材料や工法により、どうしても設置できないこともあるし、改修工事が必要であったり、設置面積の都合で採算が合わないこともある。

 

そこを押して設置、とまでは言わないが、償却期間・回収期間の長さを主な理由に、自家消費型太陽光発電設備の導入を見送った方々は、内部留保の増強・内部収益率の観点をもって再検討する価値は、大いにあると言えるだろう。

 

もし、お手元に提案書などがあるのなら、ぜひ視点を変えて検討してみていただきたい。「投資」や「回収期間」ではないデータを読み取り、貴社が「新しい一歩」を踏み出す手掛かりに加えてみてはいかがだろうか。