2021年度FIT買取価格と今後の太陽光発電投資について
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太陽光発電の2021年のFIT買取価格
2021年3月24日経済産業省は、固定価格買取制度(FIT制度)における2021年度の買取価格と、2021年度に電気の使用量に応じて需要家が負担する賦課金単価等を決定し公表しました。事業用太陽光(10kW以上50kW未満)の買取価格は、2020年度より1円下げ、12円/kW、
住宅用太陽光(10kW未満)の買取価格は2020年度より2円下げ、19円/kWとなりました。
買取総額は前年度並みの一方、再エネ賦課金は前年度より0.38円増加し3.36円になりました。
1ヶ月の電力使用量が260kWhの家庭の平均モデルでみると、月額873円の負担となり、年間の負担額は10,476円、初の1万円超えになり、再エネ賦課金による国民負担の増大も懸念されています。
そこで注目されているのが、FIT制度を使わず再生可能エネルギーを活用できる「自家消費」や「自己託送」です。
自家消費や自己託送された電気には、再エネ賦課金がかかりません。
再エネ賦課金は、使用した電気量に応じた額になるため、企業においては莫大な再エネ賦課金を支払っていることになります。(100万kWh使用の場合、再エネ賦課金は336万円)
年々上がり続ける再エネ賦課金を抑えるためにも、ぜひ「自家消費型太陽光発電」を導入し、電力会社からの電気購入量を減らすと同時に再エネ賦課金も減らすことが得策です。
太陽光発電のFIT単価と再エネ賦課金の推移
住宅用 |
事業用 |
再エネ賦課金 |
|
---|---|---|---|
2012年度 | 42円 | 40円 | 0.22円(57円/月) |
2013年度 | 38円 | 36円 | 0.35円(105円/月) |
2014年度 | 37円 | 32円 | 0.75円(195円/月) |
2015年度 | 33円 | 29円 | 1.58円(474円/月) |
2016年度 | 31円 | 24円 | 2.25円(585円/月) |
2017年度 | 28円 | 21円 | 2.64円(686円/月) |
2018年度 | 26円 | 18円 | 2.90円(754円/月) |
2019年度 | 24円 | 14円 | 2.95円(767円/月) |
2020年度 | 21円 | 13円 | 2.98円(774円/月) |
2021年度 | 19円 | 12円 | 3.36円(873円/月) |
FIT制度における2021年度の買取価格(出典:経済産業省)|(リンク先)
太陽光発電投資は儲からない!?
上記のように売電価格は毎年2~3円減額されています。
また、2020年度はFIT制度が変わり、10kW以上50kW未満において、全量売電ではなく余剰売電のみFIT適用となりました。(FIT法改正までに認定を受けた案件や稼働済みの案件は従来どおり固定価格での売電が可能)
こうした理由により「太陽光発電投資は儲からない」と思われている方もいるかもしれませんが、情報の一部を切り取って解釈がされている可能性があります。
太陽光投資の要とされるFITの売電価格が年々下落しているのは事実ですが、2021年に入った今でも投資用太陽光発電をお求めになる投資家が存在することも事実です。
太陽光発電投資で利益が出る理由は、「高利回りで長期にわたって安定して運用できる」からです。
太陽光発電が儲からないといわれる理由
①売電価格の下落
売電価格が年々下落しているため、売電による収入が減り、儲からないと言われる原因の一つになっています。
しかし、年数の経過によって、FIT単価とともに施工費用も下がっています。
施工費用やメンテナンス費用も価格競争によって少しずつ下がっているため、実は、FIT開始時から現在まで表面利回り9~12%は維持できています。つまり、売電価格は下落しても利回りはほぼ変わっていないのです。
②FIT法改正による売電条件の変更
2020年度のFIT制度では売電条件が変更になり、10kW以上50kW未満の太陽光発電所は最低30%を自家消費に充て、残りの部分を売電することと定められました。全量売電は難しくても、工場や事務所などで自家消費が可能であれば光熱費の削減にはつながります。
③自然災害や盗難被害による損失
太陽光発電所は台風によるパネルの飛散や破損、土砂崩れによるパネルの流出や水没、盗難による被害などによって損失を受けるリスクがあります。リスクに対する備えが十分でないと、非常に大きな損失を生み出してしまうことになりかねません。設備破損による修理費を保障する保険など万一に備えておく必要があります。
太陽光発電投資の魅力
太陽光発電投資は、FIT制度により、20年間は固定された単価で売電収入が得られる投資です。
20年間の固定された価格での買取期間があるため、その間はローリスクでの収入が見込め、他の投資に比べて高利回りで安定した収益が期待でき、初期費用の回収シミュレーションや収益計画が立てやすいのが特徴です。
他の投資と比べてみましょう。
株のような金融投資は、毎日価格が変動し、振幅が大きくハイリスクハイリターンの特徴があります。
不動産や金などの物的投資には、空室リスクや世界情勢による価格変動があります。
一方、太陽光発電投資は、FIT制度で固定期間は同一価格で買取がしてもらえ、ローリスクで⻑期安定収⼊を得られ、利回りも10%を超える優秀さがあります。また、発電所が自然災害に巻き込まれた場合、保険でカバーできます。
太陽光発電投資で利益を出すには
①50kW以上高圧で全量売電する
2020年度は、FIT法改正による売電条件の変更があり、10kW以上50kW未満において、全量売電ではなく余剰売電のみFIT適用となりました。
50kW以上の高圧であれば2020年以降も全量売電が可能なので、発電容量を増やすというのも1つの方法です。
太陽光発電は規模が大きくなるほど、1kWあたりのシステム価格が安くなります。
初期費用や管理コストはかかりますが、発電量が多いため、回収は難しいことではありません。
②FIT認定済みの50kW未満低圧で全量売電する
すでにFIT認定を取得している発電所であれば、稼働開始から20年間はFIT適用となり、全量売電が可能です。2020年度までにFIT認定を取得した物件を入手すれば、50kW未満の低圧太陽光投資ができます。
③中古太陽光発電で全量売電する
投資家にとって全量売電はメリットが大きい。FIT認定取得済み物件と同様に、FIT取得時の価格で売電が可能です。
すでに稼働済みの中古太陽光発電であれば、発電量の予想がしやすく、工事の必要もなく、購入後すぐに売電できます。
まとめ
太陽光発電投資は売電価格の下落や各種助成金・補助金制度の終了、災害時の保険や補償被などから「儲からない」と言われてしまうこともありますが、FIT制度によって一定期間は固定価格で買い取ってもらえる安定した投資です。
物件選び、十分な発電量か具体的な数値で収支バランスを試算し、かつリスク対策を万全にして、太陽光発電投資を始めてみてはどうでしょうか。