COLUMN
太陽光発電コラム

2018/09/27

太陽光発電設備の危険性とはーその1

太陽光発電設備の危険性とはなんなのだろうか。
今回は業界紙ではなく、一般紙で報じられたり、報じられていなかったりする太陽光発電設備にまつわるマイナス面を探ってみる。

 

 

壊れた太陽光発電設備に近づいてはいけない

2018年7月、西日本を未曽有の豪雨が襲った。政府から激甚災害に指定される災害であった。泥水に覆われた街の映像が連日報道され、記憶に新しい災害である。

 

この度の災害に対し、被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。

 

この時、住宅に設置された太陽光発電設備はどうなったのであろうか。多くはパワーコンディショナーに浸水し、安全装置が働いてブレーカーはトリップしただろう。パワコンは運転を停止する。パワコンがおこなっているのは太陽光発電モジュールから発生した「直流」の電気を「交流」に変えることだけだ。電気の発生自体を制御しているわけではない。

 

ここで注意したいのは、太陽光発電モジュールである。太陽光発電モジュールの怖いところは「光が当たると発電する物質(マテリアル)」ということだ。何かを組み立て組付けして「光が当たったら発電するように作り上げた製品(プロダクト)」ではなく、「光が当たると発電する物質」なので、水につかろうが、フレームから外れて壊れていようが「光が当たると発電」していしまうのである。

家庭用の太陽光発電設備は、10kw以下がほとんどで、パワコンも1台である。太陽光発電モジュールの出力は200w/1枚くらいのものが主流だ。実際の現場では1ストリング7~8枚のものが多い。発生する電圧は1枚当たり25v前後。直列に接続されているので、25vx8枚=200v。家庭用に用いられるパワーコンディショナーは4系統接続できるものが多い。200vx4系統=800v。感電すると生命の危険があるほどの高電圧がかかっている。ショートすれば簡単に火災になってしまう。

 

これは太陽光発電の業界に身を置いている方から聞いた話である。この西日本豪雨の後片付けボランティアに参加したそうだ。こういった災害の跡片付けボランティアは、基本的に片付け、土をどけるなど、約束した単一の作業しかおこなってはいけないとされているとのこと。家主さんとも言葉を交わす中で「そういえば屋根に太陽光発電乗っていましたね」などを話したところ、「ああそうだ」とか言いながら、何の用意もなく、パワーコンディショナーのスイッチを切ろうとしたそうである。彼はそこで家主さんに声をかけて、太陽光発電の仕事をしているので知識があること、電気が復旧していなくても太陽光発電モジュールから電気が流れており、感電の危険があることを説明し、注意喚起を行ったそうだ。

 

特に豪雨による土砂災害の場合、周辺土壌が水を含んでいて電気を通しやすくなっている。

被災・破損した太陽光発電設備にはむやみに近づいてはいけない。事業用の太陽光発電設備では、構内に1000vを越える通電部があることもある。

 

太陽光発電設備が火災になったら

火災にも注意が必要である。消火のために放水が行われ、水は電気の良導体であるからだ。ヨーロッパでは、太陽光発電設備を積載した住宅が火災になり、消火活動にあたった消防士が感電で死亡した事故も起きていると聞く。放水した水は地表に流れ、周辺にも広がる。太陽光発電モジュールに直接放水すれば、破損した部分から水を伝わって消防士まで電気の通り道ができてしまうのだ。

 

もちろん、破損していない太陽光発電設備から漏電することはない。きちんと定期点検を行っていれば、絶縁抵抗試験や漏電ブレーカーの動作確認は行われているはずである。

 

あなたの保有する太陽光発電設備が、たとえば台風の時に必ずブレーカトリップする、といった症状がある場合には、絶縁性能が低下しているのかもしれない。オーナー自らが異常の発生を記録し、その時の天候や条件をまとめておくことも、O&Mの大切な一面でもあるし、利益損失を早期に回避する第一歩でもある。