自家消費型太陽光発電とは?売電型との違い
(最終更新日:2022/06/21)
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自家消費型太陽光発電とは
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自ら消費する太陽光発電システムのことです。自社の工場、倉庫、店舗、 事務所などで使用する電力を自社の太陽光発電設備で創出することができます。日中の消費電力を引き下げることにより、月々の電力料金を抑制することが期待できます。また、自家消費型太陽光発電はCO2を排出せず、クリーンエネルギーを使用できるため、企業の環境対策としても有効です。
自家消費型太陽光発電が注目されている背景
FIT制度での電気買取価格低下により、これまで普及してきた売電型と呼ばれる太陽光発電では、メリットが少なくなり、自家消費型太陽光発電が注目され始めています。
再生可能エネルギーの普及を目的として2012年に制定された固定価格買取制度(FIT)は認定された売電価格(発電した電気を売って得る売電収入の単価)が10kw未満では10年間、10kw以上では20年間変わらないというものです。この制度の導入を背景に、売電収入を目的として普及した太陽光発電ですが、売電価格は年々低下しており、経済産業省の発表によると、10kw以上の産業用太陽光発電で売電単価は、固定価格買取制度が導入された2012年の40円から2022年現在11円まで下がっています。2020年代の半ばまでには、現在の半額以下にすると発表されています。
このような売電価格の低下に伴い、売電から得る収益を目的とするのではなく、発電した電気を自社で消費することでエネルギーコストの削減を目的とする自家消費型・太陽光発電が注目を集めています。
自家消費型太陽光発電の仕組み
自家消費型太陽光発電の基本的な仕組みは一般の太陽光発電と同じです。
太陽光発電は、光エネルギーを受けて太陽電池が発電した直流電力を、パワーコンディショナーにより電力会社と同じ交流電力に変換し、電力を施設内に供給します。自家消費型では日中に創出した電力を施設内で使用しますが、曇りや雨の日で発電量が足りなかったり、夜間の時間帯などは、不足分を電力会社から電気を購入したり、また蓄電池を導入している場合は、蓄えた電気を使用することもできます。このように、電力の不足分は購入するのか、それとも蓄電池を導入して補うかは自社の状況と意向をもとに、EPC業者との打ち合わせを行い決定すると良いでしょう。
売電型と自家消費型の違い
売電型と自家消費型では導入の目的が大きく異なります。 売電型は、創出した電力を電力会社に販売して売電収入を得ることが目的となるのに対し、自家消費型は創出した電気を自社施設で使用することで、企業経営の経費である電気料金を抑えることを目的としています。
このように目的が異なるため、創出した電気の送り先も変わってきます。
売電型では、系統連系と言われる電力会社の送電網に送出するのに対し、自家消費型は自社施設内で電気を消費するため、自社の施設に電気を送ります。この時、接続契約にもよりますが、太陽光発電設備から創出した電気が系統側へ流れる(「逆潮流」という)ことは許されません。このように売電型と自家消費型では導入の目的と送電先が、最も大きな違いと言えます。
自家消費型太陽光発電を導入する企業メリット
【メリット①】電気料金を削減
発電した電気を自家消費するため、電力会社から買う電気が少なくなり、電気料金の削減につながります。また、蓄電システムを導入すれば電気を貯めておけるので、最も多くの電力を使用する時間帯に、貯めておいた電力を充当することでピークカットが可能です。
また、電気使用量に比例して電力会社に支払わなければならない再エネ賦課金の削減にもつながります。年々上がり続けていく電気料金と再エネ賦課金は、電気使用量の多い企業には、大きく影響を受けます。
自家消費した電力には「環境価値」を創出することができ、環境価値は取引することができます。
【メリット②】CO2排出量の削減
自家消費型太陽光発電の導入によってCO2排出量を削減するという環境価値を生み出します。この取り組みを企業としてのCSR活動として対外的に伝えることで、企業評価の向上につながります。
また、パリ協定をきっかけに、企業が気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBT、RE100)などを通じ、脱炭素経営に取り組む動きが加速しており、CO2削減の取り組みは、国際的なESG投資の潮流の中で、企業価値の向上につながることが期待できます。
【メリット③】災害時の非常用電源としてのBCP対策
近年の自然災害による企業への影響が大規模かつ多様化したことに伴い、災害時の電源確保が事業継続に与える影響と重要性が高まっています。
非常時の電力調達方法として「太陽光発電設備」と「蓄電池」を導入することで、BCP対策だけでなく、平時であっても自家消費により電気代削減ができるといったメリットがあります。
【メリット④】中小企業の節税対策
太陽光発電設備は、法定耐用年数の17年間にわたって、減価償却資産として費用計上することができるため、長期的な法人税の節税につながります。 また、設備の導入費用や、運用に伴う点検や修理などのメンテナンス費用も経費として計上できます。
その上、自家消費型太陽光発電であれば、中小企業経営強化税制(設備投資減税)による太陽光発電の優遇措置があり、太陽光発電設備の取得価額の7%の税額控除を受けられる場合があります。
自家消費型を導入する際のポイント
従来の売電型太陽光発電に代わって、自家消費型太陽光発電は、太陽光発電の大きなトレンドになりつつあります。
しかしながら、まだ自家消費型太陽光発電の導入経験を強みとする業者は少ないのが現状です。設備の導入を検討する場合は、自家消費型の知識と経験をもっており、受電設備や系統連系にも知見のある業者を選ぶことが重要です。
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