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2024/07/19

系統用蓄電池が注目される理由とは

系統用蓄電池が注目される理由_企業が系統用蓄電池に注目する理由

系統用蓄電池が注目される理由

系統用蓄電池が注目される理由として、政府が目標に掲げている2050年カーボンニュートラル実現が後押しとなっていることが挙げられます。

国や自治体では、2030年のエネルギーミックス達成に向け、更なる再生可能エネルギー導入の拡大が求められており、系統用蓄電池の普及を推進しています。太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの導入量は、確実に増加しています。
しかし、再生可能エネルギーには、発電量が天候に左右されやすい弱点があるため、せっかく発電しても、使い切れず、捨てられるケースも少なくありません。

この「再エネの不安定性」という問題の解決に期待されるのが「系統用蓄電池」なのです。

電力系統の同時同量とは

電力系統の「同時同量」とは、電力の需要と供給のバランスを常に保つことを指します。

電力系統では、需要(使用量)と供給(発電量)が同じになるように調整されており、それは常に「同時同量」でなければなりません。需要と供給のバランスが崩れると、予測不能な大規模停電が発生するリスクがあります。

ところが、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、電力の需要と供給が一致しない状態が見られるようになり、せっかく発電した再生可能エネルギーのうち、余剰分が廃棄されているようになりつつあります。

再生可能エネルギー発電所は、あくまで発電所のため、単体では蓄電の機能を有していません。
しかし、余った電気を系統用蓄電池に貯めておけば、無駄なく使い切ることができます。
このように、電力系統の「同時同量」の運用を担う調整力として、蓄電池事業に脚光が集まりつつあります。

出力制御における系統用蓄電池の役割

出力制御とは、電気の使用量と発電量(需要と供給)を同じにするために、発電量をコントロール(制御)することです。
出力制御には、① 需給バランスによるものと、② 送電線の容量(電力系統の安定性を含む)によるものがあります。
このような出力制御の対策として、余剰電力を系統用蓄電池に貯めることで、電力需給の安定化を目的とした系統用蓄電池の活用が期待されています。

① 需給バランス制約による出力制御とは

需給バランス制約による出力制御は、電気が需要以上に発電されて余った時に行われます。
電力系統において電力の需要と供給のバランスを保つために、発電設備の出力を調整する仕組みで、この制御は、電力の過剰供給や不足を防ぎ、系統全体の安定性を維持することを目的としています。
法令等であらかじめ決められた「優先給電ルール」に基づいて、需給バランスの維持が行われています。

② 送電容量制約による出力制御とは

電力系統には、電気を送る容量に上限があり、送電容量を超える電気は系統容量制約による出力制御が行われます。
発電事業を始めるには、発電した電気を送るための送電容量を確保するために、一般送配電事業者又は配電事業者に接続契約を申込む必要があり、「先着優先ルール」に基づき、接続契約申込み順に送電容量が確保される決まりになっています。
電力系統の送電容量が上限に近づいた場合、先着優先ルールを適用することで、先に接続契約申請をした発電所や電力供給者から順番に電力を送るように制御されるため、あとから接続契約申請した発電所や電力供給者は、送電容量が不足している場合、出力を制限されることがあります。
「先着優先ルール」により、空き容量が無い系統に新規に接続希望があった場合には、必要な増強工事が完了するまで連系ができないことになります。
送電容量制約による出力制御

企業が系統用蓄電池に注目する理由

系統用蓄電池による投資メリット

2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)は、実質的に終了しており、それに代わって注目されている太陽光発電ビジネスが「系統用蓄電池事業」です。
2022年5月の電気事業法改正により、蓄電池を活用した市場取引が解禁になり、系統用蓄電池は、高い収益性を持つ投資としての可能性が期待されるようになりました。

電気は、日本卸電力取引所「JEPX」で取引されており、電気の市場価格は日時によって変動します。
電力需要の低い時間帯に安く電気を購入し「蓄電」しておき、電力取引市場の一番高い時間帯に「放電」して売電することで、その差額で利益を得ます。
系統用蓄電池事業においては、容量市場(kW価値)、需給調整市場(kW価値)、卸市場(kWh価値)など、卸電力取引におけるアービトラージなどの取引から収益が期待されています。


系統用蓄電池を使って投資を行う場合、売買のタイミングさえ間違えなければ、安定的な利益が見込まれます。しかし、卸電力市場の動向に合わせた電気の売買や先の見通しを立てるなど、運用には専門知識が必要になるため、アグリゲーター などに運用代行を依頼するのが一般的になります。

系統用蓄電池のビジネススキーム

まとめ

  • カーボンニュートラル社会の実現のための再生可能エネルギーの拡大と、系統のさらなる安定化のために系統用蓄電池の導入が求められている
  • 電力需給のバランス調整で、せっかく発電した再生可能エネルギーが捨てられている
  • 系統用蓄電池は、天候や季節に発電量が左右される再生可能エネルギーを有効活用できる
  • 系統用蓄電池に蓄電・放電することで電力系統を安定化させることができる
  • 系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの余剰分を蓄電することで系統混雑の解消に繋げることができる
  • 系統用蓄電池は、再生可能エネルギーを無駄にせず、脱炭素ビジネスにすることが可能
  • 系統用蓄電池は、日本全体の再生可能エネルギーを増やすことができ脱炭素に貢献できる

ユニエコ系統用蓄電池事業ビジネスモデルのご紹介。メリットデメリットなどについて解説。

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