COLUMN
太陽光発電コラム

2018/11/02

EPC業者インタビュー:株式会社Looop「売電」から「自家消費」の時代へ(前編)

株式会社Looop藤原啓介様
株式会社Looop 自家消費営業部 営業課 課長 藤原啓介様



まず御社の事業内容から教えてください。

弊社の事業内容としては三つありまして、まず私が所属している EPC 事業*です。そちらはもともとFIT関連の太陽光発電所の建設をメインに行っておりますが、今年3月の「MY自家消費セット」のリリース後は、そちらも EPC事業部の管轄として営業させていただいています。

*【編集部注:EPC「Engineering, Procurement and Construction」(設計・調達・建設)を一気通貫で行う事業者】

 

次に IPP事業*といって、我々で大きな発電所を持って特高(特別高圧)のような発電所を保有し売電収入を得て会社の事業安定を図っています。あとこちらでは研究開発も行っており、例えば新しい設置架台やパネルの出力を見たり、まずお客様に販売する前に商品を実際に自分たちで作って使ってみたり、また研究を行ったりしています。

*【編集部注:IPP「Independent Power Producer」(独立系発電事業者)自社で発電した電気を電力会社に販売する事業者】

 

最後にPPS 事業*といって電力の小売事業になり、弊社の一番大きな事業です。今年の売り上げ約416億円のうち、7割が「Looopでんき」のPPS 事業となっております。昔から弊社のことをご存知の方は、太陽光の会社というイメージをお持ちかもしれませんが、最近弊社のことを知っていただいた方は、電気の会社だよねという印象をお持ちの方が多いです。したがって、発電から電力の供給まで0から100のところまでをやっているエネルギー、再エネのトータルの会社だと私たちは考えております。

*【編集部注:PPS「Power Producer and Supplier」(特定規模電気事業者)大手電力会社以外で電気を売買する事業者】

 

そのなかで御社としての強みは?

EPC事業をしている企業は数多くありますが、その多くは発電所建設に特化しています。またガス会社などPPS事業をしている企業は、逆に電気を供給することしかできません。例えば、発電所を建設後お客様は売電を行いますが、我々はそこから余剰の電力を買わせていただいて、その電気を別のLooopでんきのお客様に供給させていただいだくとか、そういったところはLooopだからこそできるところかと思っております。

 

強みとして低コストというところもすごく意識されているという印象があります。

そうですね。実際EPC事業のみの場合、契約が単発で終わりなのでそこで多く利益を取らないと会社が回らないのですが、弊社は一つで大きな収益をあげるのではなく、自家消費や遠隔監視装置「みえるーぷ」など色々派生した商品を販売することで、分散して売上を立てています。その分お客様に低コストで商品やサービスを提供できますし、それは自家消費にも繋がっています。

 

確かに、EPC以外にも色々と商品やサービスを提供されていますよね。

はい。そして我々は「LooopFIT」提供しています。垂れ流しで0円になっている再エネの貴重な電気を我々が7円で買い取りますよといったサービスなのですが、お客様は0円で捨てるものに対して7円という価値がついて、FIT後も収益がでる。我々としては再エネの電源を7円という安価で買える、再エネの価値を保ちつつ、その電気を必要としている別のお客様に提供することができます。

 

それはFIT終了後の売電を心配される方が多いということですね。

そうですね。再エネの価値って見捨てられている、埋没しているところが多いです。今の住宅用太陽光発電では、お客様は自家消費して余った電気は売電しています。例えば、1 kWh発電してその電気を自分で消費しました、中部電力さんから26円で買っている電気を買わなくて済んだので、26円の従量料金の価値があるっていうシミュレーションを皆さんされると思います。本来買うべき電気を買わなくて済むことになり、収入が入ってくるというよりは内部収益が保たれるといった考え方です。

 

従量料金としての価値はそれでいいと思いますが、ただ自家消費したことの非化石的な価値は埋没していて、誰も測ってあげていない。シンクタンクさんであれば、自家消費したら環境価値としては0.7円~1円*くらいあると言われているので、その「自家消費したことによる環境価値」を拾ってあげる、そしてその価値を必要としている別の方に提供するといったことをもっとやっていけたらと思っています。

*【編集部注:Jクレジット制度で1ton-CO2 単位で1500円~2000円前後の単価で取引されている。1kwhの電力はおよそ500gのCO2に相当する(編集部調べ)】

 

御社としては今後自家消費に力を入れていく、もしくは既に力を入れて事業を行っているというような方針でしょうか。

そうですね。日本はアメリカや欧米の真似をしてFIT制度を導入しましたが、海外はアベレージにすると10セントぐらいで打ち切りにしていると思います。毎年10%ぐらいFIT単価が下落しており、おそらく2年後には日本も10セントぐらいの水準になるはずです。来年は買取単価15,16円、その翌年10%ぐらい下がると2年後は12、13円ぐらいになると思うので、10セントの水準になると国としてのFIT制度とは終わると僕は思っています。

 

あとは電気の価値的に言うと、現状今年がもう売電と買電が逆転する年だと思っています。特に家庭用だとそれが既に顕著に表れているのですが、産業用だと今年逆転する時期だと思っているので、我々としては、今年は普及に努めて来年が「自家消費元年」かなと。来年の方がよりメリットも出ますし、再エネ賦課金も高くなっていくのでしっかり皆さんに認識されるかなと思っています。

 

 

株式会社Looop「売電」から「自家消費」の時代へ(後編)では、自家消費型太陽光発電における株式会社Looop様の強みや課題、展望についてお話を伺いました。

 

【その自家消費に関するインタビュー後編はこちら