自家消費型太陽光発電を企業で導入するメリットと利益について
2011年に起こった東日本大震災以来、国内でエネルギー施策への関心が一気に高まり、再生可能エネルギーを取り入れていこう、という考え方も広まっています。
そこで注目されるのが「太陽光発電」です。なぜ他の再生可能エネルギーに比べて太陽光発電が注目されているのかというと、設備導入までの期間が比較的短いことや、水力や地熱に比べれば安価で導入できることなどが挙げられるからでしょう。
太陽光発電でこれまで主流だったのは、「固定価格買取制度」にのっとって自家発電した分を全額電力会社が買い取ってくれる、いわゆる「売電」を行う制度でした。しかし、近年は買取の固定価格が下がっており、投資対象として厳しいものとなってきています。
そこで今、新たに着目されているのは「全量自家消費型太陽光発電」です。このコラムでは全量自家消費型太陽光発電の概要と、どんなメリットがあるのかを解説していきます。
Contents
自家消費型太陽光発電とは
自家消費型太陽光発電設備は、発電した電気を電力会社に売るのではなく、設置したその場所で消費して電力の購入量を削減することを目的としています。
このコラムでは、自家発電型太陽光発電という言葉を、全量を自家消費することに限定して解説して行きます。
自家消費型太陽光発電については、他のコラムでも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
自家消費型太陽光発電のメリット
ここでは自家消費型太陽光発電のメリットを紹介していきましょう。
電気代を大きく節約することができる
企業に適用される産業用電気料金プランでは、年間で最大の電気使用量を意味するデマンドを基準にして基本料金が決められています。(ここでのデマンドとは、主に電力会社との取り引きに使われる「デマンド値」のことを指し、30分間(デマンド時限)での平均電力を意味します)
例えばエアコン使用量が多い夏や、製造が過密する年度末などの最大の電力使用量が基本となるので、実際の電気使用量がそれほど大きくない月があったとしても高い料金を払う必要があります。
しかし、自家消費型太陽光発電を導入すれば、電力の購入量を低く抑えることができ、電力コスト削減が期待できます。これは電力消費量が大きい企業ほど有利なポイントです。
初期投資の回収が売電型よりも早くなる可能性がある
上記のように電力購入量を抑えたり、後に説明する補助金や節税効果によって、初期投資の回収を売電するより早く終えられる可能性が高くなっています。特に売電する際の固定価格は年々確実に下落しています。その上再エネ賦課金や燃料費調整額をふくめた電気代は上昇傾向にありますから、消費型太陽光発電の導入によるメリットは感じやすくなります。
中小企業経営強化税制の対象となるなど、お得に導入が可能
2017年から始まっている「中小企業経営強化税制」では、自家消費型太陽光発電設備の導入で発生する固定資産税を軽減することが可能になっています。詳しくは以下の中小企業庁が出しているガイドを参照してください。
「知って役立つ!使ってトクする!税制改正(平成29年度版):中小企業庁」
また、システム導入にあたって補助金を受けられる制度もあります。民間事業者なら対象費用の1/3を、地方自治体との連携であれば2/3の補助を受けられる可能性があるので、以下を参照してください。
「再生可能エネルギー事業支援ガイドブック(平成30年度版)」
以下のコラムでも解説しているので、併せてご覧ください。
「自家消費型なら受けられる太陽光発電の補助金や税制優遇|中小企業経営強化税制」
CSRを意識した企業としての振る舞いが可能になる
企業には社会的な責任を負うこと=CSRを求められています。自家消費型太陽光発電を行うというのは経費削減だけでなく、温暖化の抑制、再生可能エネルギー利用率の向上に直結しますから、新たなコネクション作りにも役立ち、ビジネスチャンスにも繋がります。
自家消費型太陽光発電の注意点
一方、自家消費型太陽光発電にも注意点はありますから、ここで紹介しておきます。
夜間稼働がメインの場合、メリットを十分に享受できない
太陽光を利用した発電なので、日中の稼働をメインとする企業でなければコスト面での貢献率は下がります。夜間も稼働が多い会社であれば蓄電池を設置して対応は可能ですが、初期投資や一定年数ごとの交換が発生するので、費用面のメリットは下がります。
短期的な目線ではメリットを感じにくい
自家消費型太陽光発電設備は初期投資が必要なので、導入して即時にコストメリットは感じにくい設備です。ただし温暖化防止対策やCSRの考え方で言えば稼働月から社会的メリットが発生していると言えます。また、電気代の削減は純利益になりますから、苦労して営業利益を上げるよりは楽に純利益の上乗せが可能です。
初期投資の回収と純利益向上については、次の項目で例をあげて説明しますので、そちらを参照してください。
自家消費型太陽光発電を企業で導入することで得られる利益
ここからは、自家消費型太陽光発電設備を導入したことによる利益を解説していきましょう。
初期費用の回収モデル
年間120万円の電気料金を払っている中小企業を例に、初期費用回収のモデルを考えてみましょう。
この企業で必要な自家消費型太陽光発電設備の導入は約750万円、シミュレーションで年間100万円の電気料金削減が可能、という計算になりました。つまり初期費用の回収に8年程度かかる、という計算になります。
※設備投資費用は設置場所の状況や事業の業態によっても変化するので、一つの例としてご覧ください。
同額の利益を通常の業務とコストカットで比較した場合
この項目では自家消費型太陽光発電を導入によるコストカットを、営業利益で出そうとした場合の比較をしてみましょう。
売上高10億円、利益率5%の会社で、自家消費型太陽光発電を導入して100万円のコストカットに成功したとします。この100万円は経費を純利益に当たりますから、この会社の純利益はシステム導入前の5,000万円に100万円が上乗せされる形になります。
この100万円を利業利益で上げようとすると、2,000万円の売り上げ増をしなくてはなりません。2,000万円規模の業務を受注し、とどこおりなく遂行して平均的利益を残すことの苦労を考えれば、この設備投資の効果がいかに高いかを実感できるかと思います。
もっとコンパクトな会社を例にあげて説明しましょう。仮に月間の利益率3%の会社が、自家消費型太陽光発電を導入して年に20万円の電気代を削減したとします。この20万円を純利益で出すには約667万円の売り上げが必要となります。事業内容や季節によって消費電力は変動するため、実際には20万円の電気代の削減が現実的ではない場合もありますが、それでも電気代の削減は会社にとって大きな利益です。
自家消費型太陽光発電のメリット・利益まとめ
ここまでの説明で、自家消費型太陽光発電を導入するメリットをご理解いただけたことと思いますが、もう一度要点をまとめましょう。
・自家消費型太陽光発電は、売電ではなく発電したその場所で電気を消費するためのシステムである。
・自家消費型太陽光発電には以下のメリットがある
1 電気代を節約できる。
2 電気の購入量を下げることで、エネルギーコストを削減し売電するより投資回収が早いと予想されている。
3 節税対策になり、補助金が出るケースもあり、導入に追い風が吹いている。
4 企業として社会的責任を果たす方向付けができ、新たなビジネスチャンスにも繋がる。
・夜間稼働が多い企業にはコストメリットは少ない。
・電気代の削減額を純利益と想定すると、同額の純利益を確保する分の売り上げを稼ぐより、日々の労力をかけずに、純利益を上乗せできる。
このようにメリットが多い自家消費型太陽光発電設備ですから、検討を行う企業は規模の大小によらず増加しています。興味をお持ちの場合は、ぜひ「ユニバーサルエコロジー株式会社」にご相談ください。
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