脱炭素社会とは?中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットとその方法
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世界が脱炭素化に取り組む大きな理由
世界の各国が脱炭素化に取り組む大きな理由は、地球温暖化を食い止めることです。
地球温暖化をもたらす温室効果ガスの中で、最も影響が大きいのが二酸化炭素(CO2)です。世界中で使用されているエネルギー源の約85%は、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料で、使用することでCO2を排出します。
地球温暖化が進むことで、異常気象、生態系の変化、海氷の減少、海面水位上昇といった現象がすでに起きており、世界各地で自然環境や人の暮らしに、そのさまざまな影響や被害が現れ始めており、その深刻さから近年は「気候危機」という言葉も使われるようになりました。さらに進むと、農作物収穫の減少、感染症の拡大などどいったことが予測されています。
そのため、CO2をゼロにする「脱炭素」が必要なのです。
このような背景から温室効果ガスの排出量をゼロにするという「脱炭素化」の流れが世界的に加速しています。
脱炭素化は、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定が2016年11月に発効したことに伴ない、各国が取り組むべき課題とされていましたが、2017年に世界第2位のCO2排出国である米国が、当時の大統領であったトランプ氏のもとで同協定からの離脱を発表し、実効性が大きく低下するとして、暗雲が立ち込めていました。しかし、2020年9月に開催された国連総会において、世界最大のCO2排出国である中国の習近平国家主席が「2060年までに実質的な排出量をゼロにする」と、カーボンニュートラルを宣言したことに伴ない、再び、国際社会において注目が高まるようになりました。
日本企業の脱炭素化の取り組み
現在、グローバルに展開している企業を中心に、RE100(企業が事業活動に必要な電力の100%を再エネで賄うことを目指す取り組み)やSBT(科学的な知見と整合する中長期的な温室効果ガス削減目標)と、TCFD(気候変動に対応した経営戦略の開示)といった脱炭素経営に向けた企業の取り組みが急速に広がっています。
出典:環境省「TCFD・SBT・RE100取組企業の一覧(2021年10月31日時点)」
日本では、2012年10月から「地球温暖化対策税」が段階的に施行され、温暖化のための税として化石燃料に対して課税されるという仕組みがあり、CO2排出量1トンあたり289円課税されています。
その後、脱炭素世界実現の流れを受けて、日本でも2020年10月、菅内閣総理大臣が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したほか、2021年5月には「改正地球温暖化対策推進法(改正温対法)」が成立されました。
排出量に応じて課税する「炭素税」などの導入も検討されており、今や脱炭素経営は日本の中小企業にとっても必須と言っても過言ではありません。脱炭素とはもはやCSRの一環ではなく、企業の成長戦略に不可欠な要素です。積極的に脱炭素化に取り組む企業は、環境分野において先進的と評価され、「環境への取組み」が「企業収益」になりつつあります。
企業が脱炭素経営に取り組むべき理由
脱炭素経営とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す取り組みを行うことで、2050 年カーボンニュートラルを達成するために、今や脱炭素は、企業にとって対応しなければならない潮流です。逆に脱炭素化に取り組まない企業は、環境面で遅れている企業としてマイナス評価に受け止められます。
企業が脱炭素経営に取り組む必要性とメリット
企業価値の向上
パリ協定をきっかけに、企業が気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBT、RE100)などを通じ、脱炭素経営に取り組む動きが加速しています。
こうした企業の取り組みは、国際的なESG投資の潮流の中で、企業価値の向上につながることが期待できます。
投資家・ステークホルダーからの評価向上
脱炭素に取り組む企業に重点投資をする動きが世界で広がり、市場の企業に対する見方も変わってきているため、脱炭素に取り組んでいることを対外的に公表することで、ステークホルダーからの信頼を強めることができます。消費者からのイメージアップにもなるため、企業の売り上げ向上などのメリットを得られるでしょう。
優位性の構築
先んじて脱炭素経営の取組を進めることにより、自社の競争力を強化し、他社との差別化を図ることができ、売上・受注を拡大、金融機関からの融資獲得、新たな取引先やビジネスチャンスの獲得に結びつくものになっています。
脱炭素経営に取り組む際、サプライチェーン全体でのCO2削減に注目する大手企業もいます。SBTに加盟する等、環境への意識の高い企業を中心に、サプライヤーに対して排出量の削減を求める傾向が強まりつつあり、脱炭素経営の実践は、このような企業に対する訴求力の向上につながります。
資金調達のための必要条件
脱炭素社会の実現に向け、環境問題などに積極的に取り組む企業を選んで投資する「ESG投資」が世界で急速に拡大しています。
これまでの投資では、主に企業の財務情報等から投資するかどうかを判断していましたが、ESG投資が主流になりつつある現在では、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)という基準を投資決定の要素とするようになりました。
日本企業にとって、脱炭素化を進め国際的な競争力を高めるためにも、海外投資家からの資金調達が必要ですが、ESGの基準に合う経営活動、すなわち脱炭素経営に取り組むことが、資金調達の条件になるりうるのです。
光熱費・燃料費の削減
太陽光発電システムを導入して自家消費することで「電気量料金」だけでなく「基本料金や再エネ賦課金」も削減できるなどコスト面でのメリットがあります。
自家消費した電力には「環境価値」を創出することができ、環境価値は取引することができます。
BCP対策
近年の自然災害による企業への影響が大規模かつ多様化したことに伴い、災害時の電源確保が事業継続に与える影響と重要性が高まっています。
非常時の電力調達方法として「太陽光発電設備」と「蓄電池」を導入することで、BCP対策だけでなく、平時であっても自家消費により電気代削減ができるといったメリットがあります。
中小企業が脱炭素経営に取り組む方法
自家消費型太陽光発電の導入
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電でつくった電気を電力会社に売らずに、工場や店舗などの自社設備内で自家消費するシステムです。
再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電は、火力発電と異なりCO2を排出しません。
屋根上にソーラーパネルを設置できない場合でも駐車場にソーラーカーポートを設置することで再エネ導入が可能となります。
自家消費型太陽光発電PPAモデルは初期投資ゼロで、設備のメンテナンスなどの手間もなくリスクを抱えずに太陽光発電を使用でき、効率的に再エネ設備を導入できるため、導入する企業が増えています。
省エネ設備の導入
資源エネルギー庁によると、オフィスで消費電力の割合が多いのは照明、次いで空調となっています。エネルギー使用量の大きい設備から見直しをお勧めいたします。
その他にも企業の省エネ施策に対しては、数多くの補助金制度が用意されています。補助金をうまく活用できるよう計画的に進めていくことが重要です。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁
「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(令和3年度)」
補足:「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(令和4年度概算要求)」
新電力への乗り換え
2016年4月1日以降、電気の小売業への参入が全面自由化され、すべての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
月々の電気料金が安くなる可能性があることに加えて、新電力の中には、太陽光発電など再生可能エネルギーを利用して発電された電気を使えるプランを扱う会社もあります。
SDGsや環境保全に貢献するには、このような環境に配慮した電気を使えるプランを選ぶといいでしょう。
カーボン・オフセット
カーボン・オフセットとは、CO2など温室効果ガスの排出を削減する手段のひとつです。できるだけ排出量を削減する努力し、それでも削減できなかった量に対して埋め合わせをするというものです。
埋め合わせの方法は、たとえばCO2削減するための活動に投資したり、他の場所で削減されたCO2排出量をクレジットという形で購入するなどの手段があります。クレジットを購入すると、二酸化炭素を削減したとみなされます。
まとめ
CO2排出量が多い企業の脱炭素社会に向けた取り組みが、気候変動問題解決の鍵を握っています。企業のCO2排出量削減なくして、脱炭素社会実現はできません。
脱炭素経営に取り組むメリットを踏まえ、脱炭素経営を事業基盤の強化や新たな事業機会の創出、企業の持続可能性強化のためのツールとして認識・活用していくことが重要となります。
そのためには、生産プロセスや設備をはじめとするエネルギーの使い方を根本から振り返る必要があります。
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