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2021/12/21

いよいよ始まるFIP制度 | FIPかFIPか2022年はどちらを活用すべき?

2022年FIP制度で売電収益を最大化する

2022年4月 いよいよ始まるFIP制度

2022年4月にスタートする新たな売電制度・FIP制度は、FIT制度に替わる太陽光発電の売電制度として高い注目を集めています。
FIP 制度とは、再生可能エネルギーの自立普及・完全自由競争に向けて、再エネ発電事業者が売電する際に市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。

FIP制度とFIT制度。
売電収益を最大化するにはどちらを活用するべきか、FIP制度の概要と対象、仕組みを解説します。

FIP制度とは?FIT制度との違い

変動価格と固定価格

FIT認定を受けた産業用太陽光発電は、20年間、固定買取価格で売電できる一方、FIP認定を受けた太陽光発電は、電力需給によって変動する市場価格およびプレミアム額で売電できます。電力の需要に応じて買取価格が変わるという特徴があり、市場価格が高い時間帯に売電することで、より収益を拡大できる可能性があります。

プレミアム額の有無

プレミアム額は、電力の需給バランスによって常に変化するため、特に電力需要の高い時間帯は、プレミアム額も増えます。
電気を売るタイミングを電力市場に応じて選択できるため、買取価格が高いタイミングで売ることでより高い収益が期待できます。

インバランスコストの有無

インバランスコストとは、発電予測と実績のギャップに応じて発生するコストのことです。
FIP制度では、発電量の計画値と実績値がイコールとなる運用を求める「計画値同時同量」の義務があり、それを守れなかった場合には、インバランス料金というペナルティが発生するため、正確な発電予測と発電計画が必要になります。

30分単位の発電量を正確に予測しなければ、インバランスコストによる負担が増加します。自然条件によって変動する太陽光の発電量を予測するのは、非常に高度な技術が必要となります。

非化石価値の取り扱い

FIT制度では「環境価値」に相当する「非化石証書」は、交付金の支給と引き換えに、日本卸電力取引所(JEPX)を通じてオークション販売されます。
一方、FIP制度では「非化石証書」はプレミアム価格には含まれないため、発電事業者が保有し、自由に市場取引することができます。

発電した電気の市場での販売

FIP制度では、卸電力取引市場に参加して売電するか、小売電気事業者と相対取引で再エネ発電による電力を販売するため、発電事業者は売電先を探す必要があります。

対象となる出力

FIP制度の対象となるのは1,000kW以上のメガソーラーで、50kW以上1,000kW未満の発電所は2022年4月よりFIT制度かFIP制度のどちらかを選択しなければなりません。
FIT制度を希望する場合は、出力1MW未満の設備を設置・運用する必要があります。
FITとFIPの対象出力の違い

FIP制度のメリット

FIP制度の大きなメリットは、電力需要が高い時により多く売電をすることで、より大きな収益を得ることが可能ということです。市場の動きを正確に把握できれば、大きなメリットを生み出せる仕組みになっています。

FIP制度の買取価格は、電力需給によって変動するため、電力の供給量に対して需要の高い場面では、買取価格がアップします。需要が高く市場価格が上がりやすい時間帯(午前中・夕方・夜間)に高い金額で売電すると、より高い収益が期待できます。

また、FIP制度では、プレミアム額という補助収入を得られます。
プレミアム額は、基準価格から参照価格を差し引いた金額で構成されており、参照価格には非化石や卸電力市場の価格が含まれているため、1カ月ごとに更新され、変動的です。
すなわち、非化石や卸電力市場の価格下落や基準価格の上昇は、プレミアム額にも比例して上昇するため、比較的単価の安い市場価格による取引でも、プレミアム額によって収益を高めることが可能です。

FIP制度のデメリット

FIP制度の一番のデメリットは、買取価格が市場の電力需要・供給量に応じて変動するため、今までのような収益予測が難しくなることです。状況によっては、売電収入減少リスクも生じます。

季節や時間帯による価格変動以外に、気候変動や市場価格の下落などの影響を受けやすいため、市場の需給状況を正確に予測したり、発電量を保つために保守点検を実施するなどして、常に備えておくことが大切です。

また、前述したように、正確な発電予測と発電計画ができない場合、インバランスコストのペナルティを支払わなければなりません。
2022年度のバランシングコストは、1.0円/kWhとし、FIP制度施行から3年間は0.05円/kWhずつ低減、4年目以降は0.1円/kWhずつ低減させることで、「バランシングコストの目安(=FITインバランスリスク料と同額)」を目指すことになっています。

まとめ

FIP制度とFIT制度の違い

FIT制度 再生可能エネルギーの普及を促すことが目的
・固定買取価格で売電
再エネ賦課金(国民・企業など電力使用者が負担)
インバランスリスクなし
FIP制度 再生可能エネルギーの自立を後押しし完全自由競争にすることが目的
・発電事業者が自ら電力市場に電気を売る
・変動価格で売電
・需要ピーク時に蓄電池の活用などで供給量を増やすインセンティブあり
・正確な発電予測と発電計画が必要
インバランスリスク(発電予測と実績が異なるとペナルティ)
非化石価値市場、需給調整市場へ参加可

FITかFIPか選ぶポイント

FIP制度へ移行した方が収益が大きいのか、あるいはFIT制度を継続した方が続けた方がメリットが大きいのか判断するには、いくつかのポイントを抑える必要があります。

売電収入アップ!FIP制度の攻略法

FIP制度が開始される2022年の基準価格は、FIT制度の調達価格と同じ水準にすることになっています。発電事業者にとってはFIT程度の収益性が期待でき、価格高騰時にはさらなる収益拡大を見込めます。

ただし、FIP制度では、発電事業者が自ら発電した電気を電力市場で売る必要があり、インバランスが出ないように運用する必要があります。
そのためには、市場価格の変動に加えて、予期せぬ気候変化や長期的な市場価格の下落を読む予見性が必要となってきます。さらに必要なこととしては、季節や時期により買取価格が変動するため、発電量が少ない季節は設備のメンテナンスを実施し、需要が多い時期に備えて、電力を蓄電できるような蓄電池導入して活用するなど、計画的な動きが必要となるでしょう。

再生可能エネルギーの発電事業者として、利益を出していくための戦略立案や発電計画といった意識の変革が求められます。

アグリゲーターにアドバイスを受けたり、外部委託することも効果的でしょう。
発電事業者に代わって、需要と供給バランスを調整する役割を担う組織として位置づけられているのがアグリゲーターです。

自然条件によって変動する太陽光の発電量を予測するのは、非常に高度な技術が必要となるため、発電の予測や電力の調整が難しい場合は、アグリゲーターのような仲介業者を置くことを考えてもよいでしょう。

今後、FIP制度を利用して賢く売電するポイントとしては、「蓄電池」「アグリゲーター」が鍵になってくるのではないでしょうか。

出典:資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント(VPP)・ディマンドリスポンス(DR)とは

 


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