自家消費型太陽光発電設備と地震・雷の関係│リスクヘッジや被害後の対応を説明」
日本は地震、津波、台風などの影響を頻繁に受ける立地にあり、屋外に設置する太陽光発電設備は自然災害のダメージを受ける可能性を常に抱えています。このコラムでは、太陽光発電設備の導入を検討している企業に向けて、地震や津波、雷などへのリスクヘッジや対応などをわかりやすく解説していきます。
地震(津波)と落雷は屋外に設置される自家消費型太陽光発電設備が抱えるリスク
まずは地震や津波、落雷による太陽光発電設備へのリスクを紹介します。
地震と津波
日本は火山もあり、複数のプレート(地表を構成する巨大な岩盤)の境目が多数あるため、地震がしばしば発生します。国土交通省のホームページでも、「日本で地震が発生しないところはありません」と明言しているほどです。
地震と言えば東日本大震災や阪神淡路大震災のことを思い浮かべる人も多いでしょうが、そのような巨大災害でなくとも日本では非常に頻繁に地震が発生しています。例えば、2011年の1年間だけでも、日本及びその周辺では、マグニチュード5以上の地震が781回起きていると記録されています。
太陽光発電設備も地震によるダメージを受ける可能性があります。実際に2016年に熊本県で起こった地震では、住宅用太陽光発電設備のケースですが、南阿蘇村という地域で地震によって太陽光パネルがずり落ちたことが確認されています。より設置が堅牢となる産業用太陽光発電設備であっても、大きな地震に対してノーリスクというわけではありません。
地震によって津波が発生するケースもあります。日本は四方を海に囲まれているので、津波の被害も懸念される地域が多数あります。津波や洪水などの災害リスクを定義したハザードマップも自治体ごとに整備されていますので、自社がある地域のリスクは事前に確認しておくことをお勧めします。
また、津波によって浸水した太陽光発電設備の接続箱が、水が入ったことでショートして黒焦げになっていたという報告もあります。これは適切に設備の機能をオフしておけば防げたダメージだった可能性があります。設備の導入に際しては、担当者をはじめとする何人かの人員が必要に応じて的確にオン/オフができるよう周知を徹底しておきましょう。
落雷
太陽光発電設備は屋外に設置されているので落雷の被害も懸念されます。落雷には、直撃雷と誘導雷の2種類が存在するのでそれについて説明しましょう。
直撃雷は人体、家屋、電化製品などに直接起こる落雷です。その電圧と電流は数百万ボルト、数万アンペアにもなることもあります。
誘導雷は別の場所に落雷した時の電気的エネルギーが、送電線やアースケーブルを伝わって電化製品やパソコンなどを破損する現象です。
太陽光発電設備も直撃雷より誘導雷による被害を受けることが多くあります。ソーラーパネル自体は落雷対策を施されているものが多いのですが、パワーコンディショナーは雷サージという現象によって故障を起こすことがあります。
雷サージは電柱などに落雷した際に発生した異常高電圧が電線を伝わって機器にダメージを与える直撃雷サージと、地面や樹木に落雷が発生した場合にその周辺に発生する高電圧によっておこる誘導雷サージがあります。
地震(津波)による被害内容への適切な対応と予防策
この項目では地震や津波の被害内容を踏まえた対応と予防策を紹介していきます。
地震による架台の破損・ソーラーパネルの落下
地震が起こった際は、屋根などの高所に設置したソーラーパネルの落下や、ソーラーパネルを載せている架台が損傷する可能性があります。
津波の浸水によるショート
東日本大震災後の調査では、ソーラーパネルそのものは地震で大きな被害を受けたケースは少なかったと報告されています。建物そのものが倒壊していればソーラーパネルも無事ではありませんが、建物が無事なのにソーラーパネルだけが破損しているというケースはほとんどなかったそうです。
ただし津波によってパワーコンディショナーや周辺の接続ボックスなどに水が入った場合、電気的なショートが起こることによって機器にダメージが及んだり、火災が発生したりする可能性があるので注意が必要です。
また、災害後にパワーコンディショナーや接続ボックスなどがショートしていることに気づかず触ってしまうと非常に危険です。災害後の点検やメンテナンスは電気を通さない感電防止用手袋を着用するなど注意しましょう。
【予防策】台風前に架台、パネル固定の強度をしっかり確認する
日本付近には年間で30前後の台風が発生し、日本に接近するケースも10~20程度存在します。その中には日本に上陸するものもありますから、台風がもたらす強風、落雷、浸水には注意が必要です。
また、経済産業省から太陽光発電設備の災害への注意喚起も行われています。パワーコンディショナーを高所に配置するなどの注意事項や、パネルの耐風圧を具体的に数値指示していますのでぜひ参照してください。
メンテナンス業者の中でもO&M契約を行っていれば、台風の前後に見回りしてくれるところもあります。部品の固定や架台の設計などは、設置やメンテナンスを作業レベルで行うだけの会社ではなく、地域の気象条件を踏まえた設計をしっかり行える業者に依頼することをお勧めします。
【予防策】津波の水位を意識して設置場所、架台・基礎の高さを決める
地域のハザードマップを見れば、自社がある地域のリスクを事前に確認しておくことができます。例えば排水状況などの問題から、浸水被害が予想される地域であれば、ソーラーパネルやパワーコンディショナーを高い位置に設置することなどでリスクを低減できます。ネット上にもハザードマップのポータルサイトがあり、以下に掲載しますから、ぜひ参照してください。
落雷による被害内容への適切な対応と予防策
ここでは落雷による被害への対応と予防策を紹介します。
ソーラーパネル自体への被害よりもパワーコンディショナーへの被害が深刻
ソーラーパネル自体はメーカーで製造された時点で、雷対策が行われているものがほとんどです。また、ソーラーパネルは構造がシンプルなので落雷の影響を受けにくい特性もあります。
一方、太陽光発電設備の心臓部とも言われるパワーコンディショナーは、パネルより落雷の影響を受けやすい部分です。パワーコンディショナーも落雷対策は行われているものが多いですが、落雷の巨大なエネルギーが流れ込めば無事に済むケースは少ないでしょう。
併発する強風によるソーラーパネルの紛失・飛来
強風を伴う台風に見舞われた場合、ソーラーパネルが飛散してしまったという例は存在します。災害なので故意ではありませんが、自社のソーラーパネルが飛散して周辺の住宅や企業にダメージを与えると、賠償責任を問われることもあります。
また、ソーラーパネルが敷地外に飛散した場合には、経済産業省が定める電気関係報告規則などによって、関係各所に報告する義務があります。詳しくは以下を参照して下さい。
「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」資源エネルギー庁
【予防策】避雷針や避雷器を設置する
雷は季節を問わず急に発生する自然現象ですから、いつ自社の設備に悪影響を与えるか分かりません。そのため、太陽光発電設備だけではなく、自社の設備を守るうえで、避雷針や避雷器を設置することは非常に重要です。
また、避雷器などは落雷に際してそれ自体が犠牲になって大切な機器を守る効果を持っています。そのため、避雷器自体が損傷していることは珍しいことではありません。避雷器のメンテナンスも定期的に行いましょう。
地震や落雷などの災害対策は保険加入がおすすめ
ソーラーパネルやパワーコンディショナーにはメーカー保証が付いていますが、その保証は製品の能力を保証するもので、自然災害の被害をカバーしてくれるものではありません。太陽光発電設備は20年、30年と使っていくものですから、その間に自然災害に合う可能性もあります。そのため太陽光発電設備を設置している場合は、メーカー保証以外のトラブルなどを保証する保険に加入しておくことをお勧めします。
太陽光発電設備のトラブルに対応する保険には、「企業総合保険」、「動産総合保険」、「施設賠償責任保険」などがあります。
残念ながらこの3つは地震そのものの被害は保証してくれません。しかし、企業総合保険は落雷、火災、風、雹(ひょう)、水害などに対応してくれますし、追加で津波の被害をカバーする保険を付けることもできます。施設賠償責任保険はソーラーパネルが飛散したことで周囲に与えたダメージを保証してくれますから、企業として賠償責任を求められたときに効果を発揮します。
以下の記事に太陽光発電設備の保証や保険について詳しく書いているので参照してください。
「自家消費型太陽光発電設備導入の際は保険も大切!メーカー保証と損害保険を解説」
自家消費型太陽光発電設備と地震・雷の関係まとめ
自家消費型太陽光発電設備の地震や津波、雷の被害を紹介し、その対策などをまとめました。
太陽光発電設備は何十年も使用することを前提とした設備ですから、長いスパンの間にいろいろな災害に合う可能性があります。リスクを知ってしっかり備えて、設備を長く効率よく使っていきましょう。
「ユニバーサルエコロジー株式会社」は、太陽光発電設備を5000件以上も受注し、設置してきた実績を持っています。当社はさまざまなリスクを含めたシミュレーションを提示して、トラブルに対応しながらもしっかり企業の利益と地球環境に貢献できる設備を手掛ける技能を持っています。さまざまなメンテナンスにも対応していますので、自家消費型太陽光発電設備の導入を検討中の場合、ぜひ当社にご相談ください。