産業用太陽光発電とは?設置費用から補助金まで徹底解説
Contents
産業用太陽光発電とは
産業用太陽光発電とは、一般住宅以外に設置する出力10kW以上の太陽光発電設備を指します。産業用の場合は、発電した電力について「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」を選択できます。
太陽光発電の「住宅用」と「産業用」の違い
産業太陽光発電と住宅用太陽光発電の主な違いについて、分かりやすくご紹介していきます。
① 出力容量
太陽光発電の区分には、住宅用・産業用があり、太陽光発電システム出力によって区分されています。10kW未満なら住宅用、10kW以上なら産業用となります。一般的に工場や商業施設などの大規模なシステムを産業用として区別されていますが、一般住宅でも10kW以上の太陽光発電を設置すれば、その発電システムは産業用と区分されます。
② 電力の買取制度
太陽光発電を一定期間固定価格で売電することができる「FIT制度」においても、住宅用・産業用で「買取価格(売電価格)」と「買取期間」の違いがあります。
住宅用の場合は「余剰電力買取制度」が適用され、売電期間は10年間、産業用の場合は「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」を選択でき、売電期間は20年間です。
FITによる買取価格は、毎年度、経済産業省資源エネルギー庁が決定し、2023年度では住宅用は16円、産業用は10円となっています。
また、2022年4月から開始したFIP制度により、50kW以上の産業用の場合は「FIT制度」と「FIP制度」を選択することができます。FIP 制度とは、再生可能エネルギーの自立普及・完全自由競争に向けて、再エネ発電事業者が、売電する際に市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。
「余剰電力買取制度」とは、発電した電力を消費しきれなかった場合、余った電力を電力会社が買い取ってくれる制度です。
産業用太陽光発電のシステム構成
太陽光発電システムは以下のような要素で構成されています。
太陽光パネル | 太陽光エネルギーを直流電力に変換するパネル。ソーラーパネル、太陽電池、太陽光発電モジュールとも言います。 |
---|---|
パワーコンディショナー | 直流電力を建物内で使用できる交流電力に変換する装置。 |
架台 | 太陽光パネルの設置台。 |
接続箱 | 太陽光パネルごとに発電した電気をまとめ、パワーコンディショナーに送る機器。 |
分電盤 | 配線用遮断器や漏電遮断器などが集合して取り付けられた電気設備。 |
受変電設備 | 高圧の電気を実際に使用できる電圧に変換する設備。 電力需要が50kWを超えることが見込まれる施設では、キュービクルと言われる金属製の箱の中に収納して設置されます。 |
遠隔監視システム | システムの稼働状況や発電量などを24時間365日遠隔間からチェックするシステム。 |
気温計・日射計 | 発電効率を知るための機器。 |
電力メーター | 発電した電力を商用電力系統へ売電する時の売電量を測定するための売電メーターと電力会社からの買電量を測定するための買電メーター。 |
設置場所と設置に必要な面積について
産業用太陽光発電に必要な面積は、出力1kWあたり10~15㎡といわれています。1㎡あたり0.067~0.1kWのソーラーパネルを設置できる計算です。
つまり、出力10kWでは100~150㎡、50kWで500~750㎡、100kWで1,000~1,500㎡程度の敷地面積が目安として必要になります。
福祉施設・・・20~30kW(200~450㎡)
チェーン店店舗・・・・50~100kW(500~1500㎡)
工場(中小規模)・・・50~100kW(500~1500㎡)
工場(大規模)・・・・100~200kW(1000~3000㎡)
スーパーマーケット(中小規模)・・・100~200kW(1000~3000㎡)
スーパーマーケット(大型店舗)・・・200~400kW(2000~6000㎡)
産業用太陽光発電の設置費用
産業用太陽光発電の平均的な費用相場は、1kWあたり18~25万円程度です。
このなかには、太陽光パネルやパワーコンディショナーのような機器の本体価格だけでなく、工事費や設置用の部材費、屋根・地面に架台をしっかりと固定する基礎工事なども含まれています。
工場の屋根上に太陽光パネルを設置するケースを見てみましょう。
例えば、屋根上に100kWの太陽光パネルを設置する場合、1,800~2,500万円程度が費用相場となります。
設置容量は、事前に現地調査し、建築図面・構造計算書などをもとにシミュレーションを行なった上で決定します。一般的に設置容量が少ないほうが設置容量1kWあたりの単価があがる傾向があります。
初期費用ゼロのPPAモデル
産業用太陽光発電の種類には、PPAモデル(第三者所有型)があります。
PPAモデルとは、 PPA事業者(太陽光発電の設置業者)が中小企業などの電力消費者の建物の屋根や敷地などのスペースに太陽光発電設備を無償設置し、運用・保守を行うものです。PPA事業者は発電した電力の自家消費量を検針・請求し、需要家側は使用した分の電気料金のみを支払います。
PPAモデルでは、初期費用・維持費用が不要なので、リスクゼロで太陽光発電を導入でき、費用をかけずに電力コスト削減が期待できるというメリットから、導入する企業が急増しています。
産業用太陽光発電の補助金
産業用太陽光発電を導入する場合、要件を満たせば、国や地方自治体から補助金を受けられます。補助金や助成金を活用し、自家消費型太陽光発電を導入することで、初期費用の経済的な負担を軽減できることはもちろん、電気代削減・環境経営・非常用電源の確保・BCP対策などさまざまなメリットがあります。
太陽光発電の補助金制度は、都道府県や市区町村の地方自治体ごとに用意されており、多くの自治体では、国と地方自治体の補助金は併用可能です。補助金の申請は先着順で、予算額に達した場合、新規受付終了となる場合があるため、計画的に補助金制度をフル活用しましょう。
関連記事