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コラム

2021/07/12

太陽光発電「廃パネル」の処理問題とは?

太陽光パネルの廃棄物問題

太陽光発電は、2012年に開始した固定買取価格制度(FIT制度)により急速に普及拡大しました。
そして、RPS制度やFIT制度が導入されて10数年が経ち、今後、FIT制度の買取期間が終了した太陽光パネルの排出が本格化すると見られています。2030年代後半頃には年間約50~80万トンの使用済み太陽光パネルとして排出される見通しで、廃棄物が大量に出ることが予想されています。

廃棄太陽光パネル排出見込み量

出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン

 

FIT買取期間終了後、太陽光発電設備の放置や不法投棄が危惧されるようになり、その流れを受けて、環境省は、2021年5月モジュールの再利用を促す「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を策定しました。
太陽電池のリユース市場の拡大が見込まることを背景とし、廃棄やリサイクルではなくリユース(再利用)に焦点を当てたもので、適切な取り引きや、資源の有効活用を支援する内容となっています。

現在、日本では、年間約 4,400トンの太陽電池パネルが使用済となって排出されており、そのうち約77%がリユースされ、残り23%がリサイクルまたは処分されていると推計されています。

太陽光発電をはじめとした再エネを長期的に安定した主力電源のひとつにしていくためには、太陽光パネルを含む廃棄物がどのように処理されているのか、またその際、どのような問題が懸念されており、どのような対策を行うべきなのか考えていく必要があります。

出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン

太陽光パネルの処理(廃棄・再利用)に関する懸念点

廃パネルの処理について、廃棄されるのか、リサイクルされるのか、リユースされるのか、その際、どのような問題があるのか紹介していきます。
太陽光パネル処理の課題

出典:環境省「使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルについて

① 放置・不法投棄される!?

売電型太陽光発電について、FIT制度による買取期間が終了後、コストのかかる解体・廃棄などの処理を行わずに、有価物としてパネルが放置される可能性があるとされています。
その対策として、2018年に資源エネルギー庁は、2019年度以降、FITを利用した売電収入を目的とする場合、太陽光発電設備を導入する時点で、廃棄費用の積み立てと廃棄費用に関する報告を行うことを義務化しました。

参考:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄対策について
参考:資源エネルギー庁「廃棄費用(撤去及び処分費用)に関する報告義務化について

しかしながら、その後、廃棄の費用を捻出できない、あるいは準備しなかったなどの場合、他の土地に不法投棄されるのではないかという懸念や、積み立てていない事業者が多いことが課題として持ち上がったため、資源エネルギー庁は、2020年に太陽光発電の廃棄費用の外部積立(源泉徴収)を義務化することを決定しました。2022年7月までには、太陽光発電の廃棄費用の外部積立が導入され、原則、FIT買取期間20年のうちの後半10年間、毎月徴収されることになります。

参考:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討

② 有害物質による土壌汚染の可能性がある!?

太陽光パネルは、産業廃棄物として適切に処分する必要があります。
太陽光パネルは、「ガラス、金属、プラスチック」で構成されており、その大部分の廃ガラスは、現状、最終処分場で埋め立てられています。有害物質を含む廃パネルもあるため、その取扱いについては、水漏れ防止設備のある「管理型最終処分場」という場所での埋め立てが推奨されています。

太陽光パネルは、「シリコン系」「化合物系」「有機物系」の主に3つの種類に分類されており、パネルの種類によって、含まれる有害物質が異なっています。報道やニュースではよく「太陽光パネルには、鉛やセレン、カドミウム、ヒ素などの有害物質が含まれている」と言う表現が使われますが、2020年の太陽電池市場では「単結晶」が市場を独占しており、有害物質を含む太陽光パネルの割合としては、数パーセントとかなり低くなっています。
太陽光パネルに含有される有害物質
これまで、法律で定められていないことや情報不足・情報共有がされていないことが原因のひとつで、有害物質の適正処理が行われないケースが多々ありましたが、JPEA(太陽光発電協会)が「使用済み太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供ガイドライン」を策定し、各メーカーが自社ウェブサイト等において、処理時に必要となる有害物質含有情報を提供することを推奨。

また、環境省でも「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を策定し、「表示を行う際の含有率基準値」「基準値を超える場合の表示方法」を定めるなど、製品ごとに濃度の異なる有害物質の情報が排出事業者から産廃処理業者に正しく伝わることで、適切な最終処分方法で処理されるようになってきています。

参考:JPEA「使用済み太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供ガイドライン
参考:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン

③ 適正処理ができる排出事業者や廃棄物処理会社が少ない!?

太陽光発電の廃パネルは、産業廃棄物として処理され、その責任は排出事業者にあります。
太陽光パネルは、「ガラス、金属、プラスチック」で構成されており、産業廃棄物として処理する際、「廃プラスチック類」「金属くず」「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」の3つの素材に分類するために破砕や分別等の事前処理をする必要があります。
また、有害物質が含まれていることも考慮しなければいけないので、許可だけでなく、事前処理から有害物質の適切処理まで総合的に行う必要があります。

こうなると、排出事業者が直接処理することは難しく、一般的には、収集運搬や処理の許可を持った会社に委託することになります。総合的な処理が適切に行える廃棄物処理会社については、JPEA(太陽光発電協会)によって適正処理(リサイクル)の可能な産業廃棄物中間処理業者名 一覧表」が公表され、廃パネルの適正処理の体制が整えられつつあります。

参考:JPEA「適正処理(リサイクル)の可能な産業廃棄物中間処理業者名 一覧表

太陽光発電設備の排出撤去運搬処理のフロー

出典:環境省「使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルについて

④ リサイクル・リユース可能であるにもかかわらず処分される!?

先述した「太陽電池モジュールの適正なリユース促進ガイドライン」において、「太陽電池モジュールがリユースに適さず、廃棄物となった場合には、排出事業者が廃棄物処理法に基づいた適切な処理を行うこと。」と定められており、使用済みの太陽光パネル「リサイクル(産廃)するもの」と「リユース(再利用)できるもの」に選別されます。

リサイクルの場合、有用な金属やガラスを回収することができるため、資源の有効利用の観点から、埋立処分よりまずリサイクルを検討する必要があります。
リユースの場合、中古パネルとして国内・海外で販売されます。太陽光パネルの寿命は非常に長く(約20~30年)、内部破損がなければ、能力は下がるものの発電することができるのです。

しかしながら、適正な処理フローが踏まれない場合、リサイクルやリユース可能であるにもかかわらず、廃棄処分されてしまうこともあり、そういったことが積み重なっていくと、いずれ最終処分場がひっ迫する問題にも直面します。

まとめ

前述したとおり、太陽光パネルには鉛やセレンなどの有害物質が含まれており、環境問題を考えると不法に投棄されることは避けなければなりません。また、パネルの大部分を占めるガラスやアルミニウムはリサイクル可能な資源です。企業として社会的な責任を果たすためにも、モラルを順守した処理を行うことが求められます。廃パネルを処理する際は、専門業者に依頼し、正しく廃棄・再利用・リサイクルされるようにしましょう。
きちんと廃棄・再利用・リサイクルできる仕組みづくりに向けて、現在、埋立処分方法の明確化、有害物質の対応、発電事業者や排出事業者から処分業者への有害物質含有情報の伝達など、見直しがされています。

地球温暖化の原因となっているCO2を排出しない太陽光発電は、地球にとてもやさしいエネルギー源です。設置から処分するに至るまで、資源を有効に、そして地球環境にやさしいエネルギー源となるようにしていきましょう。


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