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お役立ちコラム

2018/12/10

系統連系容量と出力制御

事業認定された太陽光発電所の電気は、日本全国の総量としていったいどれくらいの分量を販売することができるのか。
九州電力管内では、2018年の10月に「出力制限」という形の「電力の受け入れ制限」が始まった。
四国電力管内では、2018年5月、太陽光発電で需要の80%以上を供給できた日があった。四国電力管内の「出力制限」もそう先の話ではない。

売電する以上、買ってもらえなければ意味がない。今回は電力系統側の話を取り上げてみたい。

系統連系容量と出力制御

系統連系

果たして、あとどれくらいの太陽光発電設備が系統連系できるだろうか。
2018年に入ってから、各電力会社は相次いで系統の「空き容量」の再調査、調整に着手した。これにより空き容量は、従来想定されていた量より増える、と考えられる。

 

それまでの電力系統は「完全二重化」つまり必ず50%の空きを確保できるように設備設計されていた。
言い換えると使用電力の200%の容量で設計、準備されている。これは送電の確実性を確保するためであり、万一の場合に、即時切り替えができるような設備にしておくためだ。

 

ここで単純な疑問を出してみる。
果たして、電力は常に100%+100%の容量を確保していなければいけないのか、ということだ。

 

日本は非常に電力が安定しているのでまったく実感はないのだが、実は送電線に送られている電力量は、負荷、つまり消費者の使用状況をもとに常に制御されている。もっとかみ砕いて言うと、「需要の分だけ供給されている」。送電能力200%のうち、実際に使用されているのは常に100%以下でしかない、ということだ。

 

この制御については、今までの使用状況データの蓄積から予測され、季節や曜日、時間帯による負荷変動に対して先読みして供給量を調節している、そうだ。

 

この予想は、基本的に「外れない予想」であり、なおかつ余力をもって調整されているが、まったくの予想外の事態が発生したらどうなるか。

 

需要が供給を上回る

その結果が、先般の「北海道ブラックアウト」である。未明に発生した地震により、一部発電所が損傷を受け、北海道全体の主幹ともいえる発電所に負荷が集中してしまい、想定以上の周波数変動が起きてしまった。調整しきれないため、発電所の安全装置が働いて運転を停止したために、その余波で連鎖的に系統に異常が発生してしまって未曽有の「北海道全域のブラックアウト」という状態に陥ってしまった、とのことである。

 

供給が需要を上回る

逆に「供給が需要を上回る」という予想が出たらどうだろう。
これがまさしく、九州電力が行った「出力制御」である。

 

「出力制御」は2018年の10月13,14日と、同月20,21日にわたって行われた(2018年10月24日現在)。
しかし、実は前段階として、九州電力は電力広域的運営推進機関(OCCTO)に依頼し、10月1日に「長周期広域周波数調整」を行っている。わかりやすく言うと、九州電力以外の電力会社に協力を依頼し、需給バランスの調整をした、ということである。中部電力や関西電力、ほか電力会社が対応している。

 

今回の「出力制御」は、この調整を行っても吸収しきれない電力の発生を回避するため、九州電力管内の太陽光発電設備に午前9時から16時まで発電停止してもらった、ということだ。

 

この「出力制御」について、対象設備となったいくつかの事業者が影響を公表しているがいずれも軽微だった、としている。対象設備には30日ルールとか、無制限ルールなどがあって不公平がないような規定があるが、これは項を改めていずれ触れていこう。

 

これからは「出力制御」ありきの連系

もし、「出力制御」をしなかったらどうなるか。消費しきれずに系統に乗った電気は、電線を加熱させ、電線火災をおこしてしまう。

 

「出力制御」は系統連系する限り、言い換えれば売電する限りは、常に行われるものと覚悟しなければならない。

 

冒頭の「系統空き容量」の再調査により、電力系統は解放されていくだろう。しかし「出力制御」ありきの連系となることを覚悟しておく必要がある。

 

設備の、ハードウェアの容量は決まっている。これを取り合う(食い合う、といってもいい)のだ。より多くの太陽光発電所に、可能な限り公平に分け与えようとすれば、一件当たりの量を減らすか、時間で分けるかしかないだろう。「出力制御」は「民主的な仕組みによって実行」されている。

 

太陽光発電が目指す先

売電ビジネスにぶら下がっている限り、この「民主的な仕組み」から逃れることはできない。FITも無限ではない(コラム:太陽光発電への規制は急に始まったのか)。

 

では次なる一歩、自家消費に踏み出そう。

 

 

四国電力管内、太陽光比率80%に、出力制御が迫る. 日経クロステック. https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/052411139/, (参照:2018-12-10)