自家消費型太陽光発電のランニングコスト(維持費)を項目別に説明
このコラムでは、これから自家消費型の太陽光発電設備を導入する企業に向けて、設備を維持していく上で知っておくべき管理コストや維持費の種類を紹介していきます。
定期的にかかるランニングコスト(維持費)
この項目では自家消費型太陽光発電設備を維持するに際し、定期的にかかるコストにどんなものがあるかを紹介していきます。
メンテナンス代(定期点検・清掃)
太陽光発電設備は10年程度ではなく、20年、30年のスパンで使い続けていくことを前提としたものです。長い期間にわたって効率を維持して、問題なく電力を得るにはメンテナンスは欠かせません。
以下の項目ではメンテナンスが必要な理由を具体的に挙げましょう。
自家消費型太陽光発電は定期的なメンテナンスを!メンテナンスの重要性
故障が発生した場合、3か月以内に修理完了できる体制が求められる
太陽光発電設備は毎日何かの操作を必要とする製造設備のようなものではありません。それは手がかからないという点で優れていますが、管理の仕方によっては故障が起こっても気づかれずに何か月も放置されるということにも繋がります。
故障発生をできるだけ早く察知し、3か月以内に修理できる体制を整えておくことが義務付けられています。メンテナンスがしっかりした業者であれば、通信システムを使った常時管理などができる所もありますので、業者選びはしっかりと行いましょう。
また、出力が2000kWを超える設備の場合、電気主任技術者の常駐が義務となっていますので、その体制作りとコストを計画しておきましょう。
清掃を怠ると、火災などの原因になる
太陽光発電設備は屋外で日当たりの良いところに設置することが必須条件です。屋外なので枯れ葉などがたまることもあり、それを放置していると、そこに発生した昆虫などを捕食しにイタチやネズミなどが訪れることも増えてきます。小動物は電気ケーブルをかじることもあり、露出した電線からスパークが起こると周囲の枯れ葉などに引火して火災が発生するかもしれません。このようなことが起こらないように、清掃は定期的に行いましょう。
自家消費型太陽光発電設備の出火リスクは?押さえておきたい火災のこと
パワーコンディショナー用の電気代
パワーコンディショナーは直流で発電された電気を交流に変え、出力が安定するように整えるための重要な部分です。
パワーコンディショナーは作動する時に電気を必要とします。しかし、基本的に太陽光発電設備が稼働している時に発電した電気でまかなえますし、電気消費量そのものはそれほど大きくはありませんから、コストとして大きく気を配る必要はないでしょう。
太陽光発電設備の各種保険
太陽光発電設備について、ソーラーパネルやパワーコンディショナーなどには、個別にメーカーによる保証期間が設定されています。メーカーによる保証は、大きくは「製品保証」と「出力保証」に分けられます。
製品保証は物品の製造上の不都合や、機能が不十分だった場合の保証で、多くの場合は5年から10年程度の期間になっています。
出力保証はソーラーパネルの出力が、一定の期間、一定の量を下回らないことを保証します。もし、保証期間内に出力が規定値を下回った場合はソーラーパネルの新品を支給してくれますが、交換にかかる作業費用などは保証に含まれないので注意しましょう。
自家消費型太陽光発電に有用な保険一覧
上記に紹介したように、ソーラーパネルやパワーコンディショナーには個別のメーカー保証が付いています。しかし、地震や台風などの災害による損失や故障は、メーカー保証には含まれていない場合がほとんどなので、「企業総合保険」や「動産総合保険」、「施設賠償責任保険」などに加入しておくことをお勧めします。
企業総合保険は風、雹(ひょう)、落雷、水害などの自然現象だけでなく、火災や爆発、車や飛行機の衝突、盗難、設備の電気的トラブルによる損害などを幅広くカバーしてくれます。地震、津波、戦争などは通常は保険の対象にはなりませんが、津波に対する保証はオプションで加入することもできます。
動産総合保険は企業総合保険と似ていますが、設備としての故障や、清掃・メンテナンス時の破損は適用外となっている場合もあります。企業総合保険と被る部分が多いので、どちらか一方だけに加入するケースがほとんどです。
施設賠償責任保険はソーラーパネルが風などで飛散したり落下したりしたことで周囲の住宅や企業、人に損害を与えたことに対する保険です。
保険に関しては詳細に記述した記事がありますので、以下を参照してください。
自家消費型太陽光発電設備導入の際は保険も大切!メーカー保証と損害保険を解説
太陽光発電設備自体にかかる税金
ここでは太陽光発電設備を導入したことによって発生する税金について解説します。
固定資産税
企業として太陽光発電設備を導入した場合、償却資産と判断されて税率1.4%の固定資産税が発生します。太陽光発電設備の耐用年数は目的によって異なりますが、それについて書いた記事があるので詳しく知りたい場合は以下を参照してください。
自家消費型太陽光発電の耐用年数とは?ソーラーパネル自体の寿命も説明
所得税(FIT制度を併用した自家消費型太陽光発電の場合)
自家消費型太陽光発電設備では、発電した電気を販売しないので売り上げは発生せず、所得税、法人税には関連しません。しかし、もしFIT制度を併用した自家消費型太陽光発電で売電を行っていれば所得税にも影響がある場合があります。
非定期ながら確実にかかるコスト
この項目では定期的でなくても確実に発生するコストを紹介していきます。
設備の修理・交換にかかる費用
ソーラーパネル
ソーラーパネルについて、以前はメンテナンスフリーと言っている業者も存在しました。しかし屋外に設置する工業製品である以上、トラブルが発生しないことはあり得ません。一定期間での修理や交換は必要になることを見込んでおきましょう。
またソーラーパネルは常時屋外にあり、風雨や雪にさらされますし、埃、動物の糞などの汚れが付着しやすい環境におかれています。汚れやごみの付着による出力低下を防ぐための清掃、メンテナンスも予算に組み込みましょう。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーの寿命は10年前後であることが多く、太陽光発電設備を20年、30年と使用する中では先に寿命が来ることが考えられます。そのため、予算を組む際に10年から15年くらいの時期に交換することを見越しておきましょう。
売電メーター
売電メーターは10年ごとの交換が法的に決められています。費用的には1万円~2万円程度です。企業としては大きな負担ではないとは思いますが、しっかりと予定しておきましょう。
太陽光発電設備の破棄費用
FIT制度を併用した自家消費型太陽光発電の場合、20年後の売電終了後に向けて、撤去処分費用を毎年積み立てておくことが資源エネルギー庁によって義務付けられています。
これは残念なことに、何らかの事情で使用されなくなった太陽光発電設備が、不法に廃棄されている現状から義務付けられた経緯があります。ソーラーパネルはリサイクル可能なガラスやアルミニウムなどが使用されていますし、鉛やセレンなどの有害物質が含まれているものもあります。(廃棄のためのガイドラインで、鉛やセレンなど有害な4物質について配慮するように規定されています)
企業の社会的責任として、不法投棄をしないためにも廃棄費用の積み立てを行いましょう。なお、廃棄費用の積み立てについては「源泉徴収的」に積み立てる方法が検討されています。
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄対策について」
自家消費型太陽光発電のランニングコストまとめ
自家消費型太陽光発電設備を維持していくために必要不可欠なコストを紹介しました。
これらの費用は必要となるものですから、導入時点で予定しておかないと、せっかくの自家消費型太陽光発電設備の経費削減のメリットが生かせなくなります。また、法的な決まりを守っていないと是正勧告などの処置もあります。
事前にしっかりしたシミュレーションを行っていれば、これらのコストを踏まえた適正期間内での投資回収は可能ですから、信頼できる業者にシミュレーションを依頼しましょう。
「ユニバーサルエコロジー株式会社」は、1996年の創業以来、太陽光発電設備を5000件以上も受注・設置してきた実績を持っています。当社にご相談いただければ、メンテナンスにかかる経費を踏まえた分かりやすいシミュレーションと、誠意あるお見積もりを作成いたします。自家消費型太陽光発電設備の御検討はぜひ当社にお任せください。
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